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米国IT事情を探る

「Vistaは使いにくい」は、真実なのか

2008年08月04日 22時18分更新

文● 遠竹智寿子

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ここで驚くべき発表が


 しかし、その次世代OS(=Mojave)は、特別なOSでも何でもなかった。実は、すでに販売されているWindows Vista(のUltimate版)であった。

 担当者に「これVistaなんですよ」と真実を告白され、驚く体験者たち。戸惑いの色を隠せない人もいる。


 「オーケー(一呼吸して)、オーケー(動揺を落ち着ける様子で)……まったく……まったく予想してなかったな……。(しばらくして)欲しいなと思い始めているよ」

 「(一拍おいて)わぁお。じゃあ、Vistaにしなきゃ」

 「(Vistaについて)私が知ってることなんてこれっぽっちもなかったのね」

 「Vistaだって分かってもやっぱり好きだな(うなずく)。今まで、何でみんなVistaのことを悪く言ってんだろう。なんでみんなVistaを嫌うんだろうね」

 実験には、Mac OS X、Linux、Windowsの旧バージョンなどを使用していて、事前の電話取材で「Windows Vistaの印象が悪い」と答えた人が集められたそうだ。

 しかし、140人を対象にしたMojaveの評価平均は10点満点中8.5。事前に取ったVistaの評価は4.4だったという。



まさにアメリカ的な今回のプロモーション


 このプロモーションサイトを見て、本当にアメリカ的なプロモーションだなと感じた。見せ方こそスマートだが、やっていることは昔からある「ドッキリ○○」の類と変わらない。

 体験者の多くは、戸惑いつつも素直にVistaの価値を認めている。日本のユーザーにこんなことをしたら、「だまし討ちだ」と怒り出す人が次から次へと出てきそうだ。

 アメリカでは昔から比較広告が数多く存在している。今回はブラインドテストという体裁で、体験者の思い込みをたくみに利用した(ある意味あざとい)仕掛けだが、コンテンツとしては面白く仕上がっている。

 考えてみれば、アメリカ人はこういった人間の心理をついたイベントが好きだ。FBIがリストアップしている指名手配犯の自宅に、フットボールのチケットをプレゼントして、無防備に出てきた犯人を一網打尽にしてしまったこともあった。犯人を個別に逮捕していくよりも効率がいいし、何よりニュースネタになる。FBIの活躍を大々的にアピールできる格好の材料だろう。マイクロソフトの手法とはこれとは異なるが、PR活動を一種のお祭りごとにしている点が似ている。

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