こんにちは。ビジネス書評家の土井英司です。今月も時代背景を絡めつつ、注目の新書を紹介して参ります。
現在、新書、単行本問わず売れているのは、実はコンサルタントのスキルを扱った本です。新書では、20万部を突破した、コンサルタントの野口吉昭さんの『コンサルタントの「質問力」』(PHPビジネス新書)を筆頭に、経営コンサルタントの小宮一慶さんによる『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー携書)と『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(ディスカヴァー携書)が売れています。
ではなぜ今、コンサルタントの知恵が求められているのでしょうか? 最近は『週刊ダイヤモンド』『プレジデント』などのビジネス誌でもコンサルタントスキルが取り上げられることが多く、雑誌も従来とは違った売れ行きを示しています。
しかしこの傾向は現在の社会背景を考えれば容易に理解できること。その背景とは、人々が転職するのが当たり前になった、ということです。
会社を移るのが当たり前になった現在では、ビジネスマンにはよりポータブルなスキルが求められます。そこで、どんな環境でもすぐに情報を収集・分析して成果につなげられるスキル――コンサルタントのスキルが求められるのです。
中でも現在20万部のベストセラーとなっている『コンサルタントの「質問力」』は、そのコンサルタントのスキルの中でも、最も汎用性の高い「質問力」を扱っています。
ビジネスの問題を解決するには、まず良質な情報を集めること。したがって、目の前の人間から情報を引き出す「質問力」はますます重要になってくると思われます。また、質問力が重要なのは、どんな質問をするかによって、ビジネスマンとしての能力を評価されてしまうことです。できるコンサルタントの質問スキルを紹介した本書は、一読に値すると思います。
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