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2社合同「秋葉原トーク・デスマッチ」(前編)

電気街はなぜ「萌え」たのか?──ASCII×ITmedia対談

2008年07月30日 16時00分更新

文● 藤山哲人

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クロックアップ、冷却、RAID……


 映像コンテンツが爆発的に増える時代だったが、エンコード作業はCPUにとって非常に重い処理。なにせボロいパソコンで30分のムービーをエンコードしていたら、一晩はかかるというシロモノだったのだ。深夜枠を全部パソコンで録画して、高画質にエンコードしてたら、翌日の深夜枠の番組がオンエアされてしまう。遅いパソコンでは、エンコードが間に合わない!

 それまでのオーバークロックなどの改造は、自己顕示欲的な意味合いが強かったが、ここへ来てエンコードという必要に迫られてパソコンを高速化するユーザーも出てきた。

 そこに登場したのがAMDのプロセッサーだ。インテルに比べて安価でオーバークロックしやすい(カートリッジを「殻割り」して大型ファンを取り付けるなど)ということもあり、AMDはこういったユーザーに瞬く間に広がる。

 が! そこには落とし穴もあった。AMDのCPUはエンコード時に大量の熱を発生し、フツーの冷却ファンではCPUを冷却しきれないのだ。ある者は冷却系を強化するために水冷化や大型ヒートシンク化に走り、ある者は安定して動くインテル製CPUに回帰する。一晩中エンコードしているため、睡眠の邪魔にならないようにと、静音化を試みる者もいた。ビデオキャプチャーカードが売れまくったのもこの辺りだ。

 単にテレビを高画質に録画すると、HDDの書き込み速度が追いつかない。そこで、複数台のHDDを用意し、分散して書き込むことで、速度や信頼性を向上させる「RAID」もアニメファンの間で流行った。

 映像を再生するだけのライトなアニメファンも、352×240ドット→640×400ドット→704×480ドットと映像が大画面し、どんどん高画質化(MPEG-1→DivXやWMV)が進むと、それなりに高性能なパソコンが必要になってくる。そんなわけで、アニメファンのパソコンも高性能化が進むことになったのだ。



混沌とした「アキバ」が醸成される


 さらに海洋堂がラジオ会館に入り大盛況だったことを受けて、アキバでもアニメ関係店舗の出店ラッシュが起こる。パソコンの販売数に陰りが見え始めると、まずメーカー製のパソコンを販売していた店が潰れて、ソコに小さなアニメ関係のショップが入った。パソコンショップの経営難が拡大すると、ついには中央通りや駅前の店も潰れ始めて、裏路地で力を蓄えたアニメショップがどんどん中央通りや駅前に進出。

 これが繰り返されて、現在の家電、電子パーツ、パソコン、アニメで混沌とした街「アキバ」が形成されていったのだ。

 Windows Meの時代は「パソコンを使うとなにやら裏モノで得できそう」というエントリーユーザーの増加をもたらした。でもそれ以上に、アニメファンがこぞってパソコンを高性能化するために、PCパーツ街に流れ込んでいったのは確実だ。

 さらにWindows Meがリリースされた2000年頃、メイド喫茶が開花する。それまでは美少女ゲーやアニメの素材として仮想世界にしかいなかったメイドさん。それが現実に見られるということもあり、PCパーツ街にさらなるアニメファンを流入させ、メイド喫茶マニアなる人種も出始めたのだ。


※後編「萌えは『薄めたカ○ピス』だ」はこちら


藤山哲人

 心はいつも18歳。フリーのライター兼プログラマー。最近はフィギュアパンツ鑑定士(1級)としても有名。好きな女性のタイプは、妹系メガネっ娘ツンデレ。著書としてダメ人間を露呈する「萌える聖地アキバ 秋葉原マニアックス」(毎日コミュニケーションズ)「メイド喫茶制服コレクション」(竹書房)などがある。ただバランスよく「Excel VBAコントロール&フォーム活用術」(日経BPソフトプレス)や「TMPGEnc 4.0 XPress オフィシャルガイド」(アスキー)、翻訳&書き起こしの「ROBOT D.I.Y. ホームセンターの材料で作る遠隔操作ロボット“TeRK”」(毎日コミュニケーションズ)などもやって真面目さもアピール。


古田雄介

 アキバ電気街&量販店やネット事情のレポート、アングラ情報の分析などを得意とするデジタル&サブカルライター。ITmediaやASCII.jpなどのネットメディアに連載を持つほか、週刊アスキーや週刊SPA!などにも執筆している。明治3年〜終戦頃の古銭が好き。


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