このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

吉本佳生氏の大胆予測

この5つの業界で“価格戦略”変動!?

2008年06月24日 09時00分更新

文● 片桐卓也 写真●曽根田 元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

タクシー料金は雨の日に値上がりする?


 規制に守られて価格が動かない例として吉本氏があげるのがタクシー料金。「中国で感動したのはクルマごとにタクシー料金が違うこと。中国のほうがよほど資本主義的です」。2002年にタクシー業界への参入は自由化されたが、各都市で一律の料金は変わらず、過剰なタクシーの台数によって業界の利益率はほぼゼロのまま。「より自由に価格を設定できれば、雨の日など需要の多い時に料金を上げ、他の時には下げるなどの 工夫ができるはずです」。

 また、終電後の駅に重点的に配車するなど、GPSを使った機動的な配車も、一部だけでなくもっと多くのタクシー会社で可能だと指摘。「価格をいじらないから、設備投資もハンパにしかできないんです。そういう努力をしないまま料金だけが上がっている」。ガソリン価格の高騰で再び料金が上がりそうだが、その時にどうなるだろうか。

雨の日はちょっと高い?

雨の中、タクシー待ちの長蛇の列に誰しもうんざりしたことはあるだろう。しかし本来、こういうときは価格上昇の機会。多少価格が高くても構わない客だけが利用するので混雑も緩和する。


ドラッグストアが薬の価格でスーパーに負ける日が来る?


 規制が産んだ歪みはスーパーやドラッグストアにもある。ドラッグストアの食料品はスーパーよりも価格 が安い時があるが、これは薬の販売で利益が確保できるので食品を安くできる、という構造だ。「今後スーパ ーで薬を売ることが可能になった場合、その立場が逆転することもあり得るでしょう」。来年には改正薬事法の施行により登録販売者制度が導入され、薬剤師がいなくても大衆薬などが販売可能となる。そのとき、スーパーは「薬の安売り」で逆襲するかもしれない。現在のドラッグストアという業態に大きな変化が出ることが予想され、今後、その動きを注目していたい業界だ。


販売店が新車価格を競い合う?

もし、同じメーカーの同じ車種を複数の店が売るようになれば、販売店は価格競争を展開し、値下げが起こる。現在はメーカーの系列販売店が新車を扱うので、こういうことにはならない。

携帯電話はまだまだ値下げできる!


 携帯電話の通話料金は、その価格が複雑で分かりにくいものの典型的な例となっている。特にソフトバンク参入以前は、上位2社が激しい競争を避けていた。その後ソフトバンクモバイルの“ホワイトプラン”などの出現によって競争が激化し、新たな料金体系ができた。

「しかし、その中味に関しては、まだ不透明な部分が多いのです」。

 よく指摘されることだが、1円で売られる携帯電話本体の値段は、携帯電話ショップへの販売奨励金で相殺されている。ではキャリアはどこからこの奨励金を回収するかというと、最終的にはユーザーが支払う通話料からなのだ。割賦販売制に移行する前は、キャリアによっては電話機本体の価格をゼロにするという販売例が非常に多く見られた。「しかし、携帯電話の機種を頻繁に変えない人にとって、これは不利な料金体系です」。2年ごとに機種変更をする人はその都度、販売奨励金の恩恵を受けて割安な電話機本体を手に入れる。しかし2年以上使う人は、その販売奨励金の回収部分が含まれた料金のまま使い続けることになるのだ。「その点では通話料金はもっと下がっても良いはずです」。


 この他にも、吉本氏はJRの料金や生命保険など、様々な価格にも疑問を呈する。「基本的に規制で守られ ている業界や、競争が制限されている業界の料金は高く留まったままです。競争がない業界ではサービスの 質の劣化が起こりやすい。なぜこの価格は高いのか、サービスが悪いのか、ひとりひとりがそういう意識を 高めて行くべきですね」。

前へ 1 2 次へ

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中