(「中編」から続く)
ここまで、「前編」ではWord／Excel、「中編」ではPowerPoint／Entourage／Project Galleryの新機能を紹介した。最後に、各ソフトの互換性について探ってみよう。
CONTENTS:
- 1. ラインアップ
- 2. Wordの新機能
- 3. Excelの新機能
- 4. PowerPointの新機能
- 5. Entourageの新機能
- 6. Project Galleryの新機能
- ▶7. Wordの互換性
- 8. Excelの互換性
- 9. PowerPointの互換性
- 10. Entourageの互換性
7. Wordの互換性
ワープロソフトの「Word」は、レイアウトの自由度や表現力が高く、簡易DTPソフトとしても利用できる。またWindows Vista用のフォントが搭載されたことで、Word 2007との親和性が大幅に向上した。一方で新しいファイルフォーマットの採用により、旧バージョンとの互換性に気を配らなければならない面もある。
Microsoft Word 2007／2008間の互換性
Word 2007（Win）で文章を作成。インターフェース上部には「新規作成」「保存」などの基本操作を実行する「Officeボタン」や、「フォント」「ページレイアウト」など各種メニューが表示される「リボン」が配置されている。複数ページの書類を作成／編集する際は、常時表示される左のリストから任意のページを選択すればいい
Word 2008で左の書類を開くとほぼ正確に再現された。ツールバーの下には、文章中に挿入できるアイテム類などを選択できる「エレメンツギャラリー」を備える。また、フォントの設定や互換性チェックなどを実行可能な「ツールパレット」もMac版独自のインターフェースだ
自由度の高いレイアウトにより、完成度の高い書類を作成できるWord 2007。文字や写真の細かい設定は「リボン」や「設定ウィンドウ」から実行可能だ。また、マイクロソフト(株)のウェブサイトにある「Microsoft Office Online」からテンプレートを無償でダウンロードできる
左のWord 2007で作成した書類をMacのWord 2008で開くと、文字のフォントや写真のレイアウトがほぼ忠実に再現される。またWord 2007同様、テンプレートは「Microsoft Office Online」から無償でダウンロードできる
「メイリオ」フォント搭載
Word 2007（Win）でさまざまな書体を使ってテキストを入力。Windows Vistaの標準フォント「メイリオ」は、Windows XPなどで利用されていた「MS UI ゴシック」に代わる、新しいシステム用フォントとして提供される。現段階ではVistaの普及率がそれほど高くないこともあり、書類でメイリオフォントが使われる機会はさほど多くない
左の書類をMacのWord 2008で表示。従来の「MSゴシック」「同明朝」「MS Pゴシック」「同明朝」に加え、Word 2008にはWindows Vista標準のメイリオフォントも搭載されており、フォントの違いによるレイアウトの崩れはなくなるだろう
ユーロ記号の表示に対応
Word 2007から対応した欧州統合通貨の「ユーロ」を示す「€」記号。これまでのMac版Word 2004では、ツールバーから任意の記号を選択して挿入する必要があった
Word 2008ではユーロ記号に標準で対応。従来とは異なり、文字パレットからいちいち呼び出す手間もない
「.docx」形式の読み込みもOK
Word 2008では、Word 2007から採用された「.docx」形式のファイルに対応した。これまでは従来の「.doc」形式と互換性がないため、専用コンバーター「Microsoft Office Open XML File Format Converter for Mac」が必要だった
もちろん「.doc」形式での保存も可能。旧バージョンのWordや互換ソフトとやり取りする際には、「.doc」形式で保存するといい
8. Excelの互換性
Excel 2008は、Windows版のExcel 2007で採用された新しいファイル形式に対応し互換性が向上した。しかし、前バージョンで搭載されていた機能がいくつか削除されたことで、ワークフローの再設計に少なからず影響を及ぼすこともある。重要なデータを扱うことの多いソフトだけに、しっかり覚えておこう。
Microsoft Excel 2007／2008間の互換性
Excel 2007（Win）のテンプレートを基にカレンダーを作成。インターフェースは、基本操作を実行できる「Officeボタン」や、常用するコマンドをボタン化して配置する「クイックアクセスツールバー」などWord 2007と似た設計だ
Excel 2008（Mac）で、左のWindowsファイルを開くと、カレンダーの位置や写真が正確に反映された。インターフェースはWord 2008とほぼ同じ設計だ
Excel 2007（Win）で作成した基本的な表とグラフ。「設定パレット」からは、作成したグラフのサイズ調整や3D効果を加えるなどの設定を実行できる
Windows用Excel 2007のファイルをMacのExcel 2008で開くと、フォントやグラフに大きな乱れは見られず、グラフの3D効果も反映された。読み込んだファイルは、ツールパレットから編集できる
VBAを含んだファイルは非対応
プログラミングを自動化する「VBA」（Visual Basic for Application）のマクロを組み込んだWindows用のExcelファイル。実は、前バージョンのExcel 2004ではMacでも問題なく開くことができた
Excel 2008で「VBA」のマクロを含むファイルを読み込むと、図のようなダイアログが現れてしまう。AppleScriptやAutomatorを利用して自動化すれば解決する問題だが、受け渡しの際に注意しよう
「.xlsx」フォーマットに対応
Excel 2007以降は、「.xlsx」および「.xlsm」（VBAを使用したファイル）が標準フォーマットになった。Excel 2008では両方の形式を開けるものの、前述した通り「.xlsm」ファイルの「VBA」マクロは機能しない
Excel 2008で作成したファイルを、旧バージョンや互換ソフトに渡すときは「.xls」形式に変換する必要がある。このとき、ツールパレットにある「互換性チェック」を使うと便利だ
OfficeArtエンジンを搭載
Ecxel 2007（Win）には、グラフィックエンジン「OfficeArt」が新しく搭載されている。これは図形の透明度や重なり具合など、高度なグラフィック機能を実現させるもので、書類の表現力を高めるメリットがある
Ecxel 2008では「OfficeArt」を使ったグラフの表示／編集が可能。ただし、旧バージョンや互換ソフトとやり取りする際は、使用するのを避けるのが賢明だ
(次ページに続く)
