このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

京都本社を直撃取材

はてな流の「モノ作り」とは? 近藤社長語る

2008年05月27日 11時00分更新

文● 野田幾子、撮影●篠原孝志/パシャ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

グーグルのオフィスを参考に


googleのオフィス

googleのオフィス

 ビジネス街の中心、烏丸御池にほど近い京都のオフィスは、3月から近藤氏がほぼ毎日通ってレイアウトを考案した。オフィスに入ってまず目に付くのは、総ガラス張りの作業空間だ。中では開発者たちが3名ずつ背中合わせに座って作業している。

 以前からオフィス作りには並々ならぬ興味があり、シリコンバレーにいる間にヤフーやアドビ、グーグルなどのオフィスを見学した。最終的に参考にしたのはグーグルだ(関連記事)。

 一見すると部屋全体がオープンなスペースだが、よく見ると3人くらいずつガラスで仕切ることで、ほかから隔絶している。壁とは違いガラスで仕切れば、圧迫感はないし、隣からの話し声も聞こえない。また、個室やパーティションの中にひとりでいるのではなく、2、3人集まることで自然に会話が生まれて、思ってもみなかった発想が得られることもある。

 オフィスの真ん中には大きなテーブルがある。スタッフ全員がミーティングを行なったり、令子夫人(はてな広報の近藤令子さん)が作った「同じ釜のメシ」を食べながら考えを共有するスペースだ。



日本のIT企業が世界に通用するための「勝算」


 将来の目標は「任天堂のような世界に通用する会社になる」こと。とはいえ、日本のIT企業が優秀な人材をなかなか確保できないことにも歯がゆさを感じている。近ごろになって、ようやく優秀な学生がIT企業を就職先として選ぶようになってきた。例えばグーグルでは、初期に入社した人々がストックオプションで数億円を手にしており、企業としても開発に力を注ぐ余裕が生まれている。日本は5、6年遅れている気がしてしまう。

 しかし、ひとつの企業に責任を持って勤める風潮のある日本だからこそ、いったん優秀な人材が集まれば日本に有利に働くのではないかと近藤氏は考える。

 日本ならシリコンバレーのように、新しいアイデアのために会社を作り、投資を集めてうまくいかなかったら会社は解散、ということはない。一度や二度は失敗しても、それを含めてノウハウとして蓄積するのが日本企業の特色だ。あきらめずに続けていくことで、世界的に競争可能な優位性ができるとにらんでいる。

 「長い視野をもって日本のネット企業が世界的な競争力を付ける。その変化をなんとかして起こしたい」。近藤氏が持つ、もうひとつの大きな願いだ。


■関連サイト

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン