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台湾発セクシーなUMPC「HTC Shift」の○と×

2008年04月15日 21時40分更新

文● ヤシマノブユキ

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PDA+パソコン=?


 セールスポイントのひとつである「SnapVUE」(ワンボタンで切り替えられる待ちうけ画面)はなかなか使える。

HTC Shift

SnapVUEへの切り替えは液晶パネル左下のボタンを押すだけとシンプル。起動も高速だ

 パソコンがスリープした状態でも、メールやスケジュールの確認ができるのは便利だ。個人的には「mail2web」などの無料Exchangeサーバーを使うつもりなので、プッシュEメールの環境構築も導入の際のネックにはならない。Vistaモードとケータイモードを切り替える際の挙動がスムーズなので驚いた。この手の新機能はたいていもっさりしていることが多いが、実用上も十分な速度感だと思う。

HTC Shift

SnapVUEの設定画面を見るとWindows Mobileをほうふつとさせるが、公言はされていない。サブセットなのかもしれない

 一方、中身は普通のパソコンなので、動画共有サイトを観たり、機能に不満はない。Origami 2.0は従来よりサクサク動くようになっている。筆者はスペック値以上に重たいという印象を持ったが、周囲では見た目以上に軽いという声が大勢を占めている。



非常にコンセプチュアルな製品、その進化は始まったばかり


 ただし、今回の製品はコンセプトの提示という部分が大きいと言うか、必ずしも製品として吟味されていないと感じる部分があった。

 例えば、VistaとWindows Mobileのストレージ領域は完全に分断されており、本体内でデータを同期させられない点が挙げられる。また、キャリアーの用意したパケット定額に対応していない点や、プッシュEメールを利用するにはExchangeサーバーが必要で、普通の人には敷居が高く感じる。

HTC Shift

SIMカードはバッテリーを外した下に装着する。このあたりも何となくケータイ的な文化だなと感じさせる

 HSDPA対応といっても3.6Mbpsどまりであること、音声通話に対応していないことなども若干疑問に感じるところだ。役割的には、モバイルPCとスマートフォン(PDA+携帯電話)の両方の機能を兼ね備えた形になるが、これでは結局音声通話用の携帯電話も持ち運ばなければならない。

 操作性に関しても、例えば画面が縦に回転させられない仕様は意外(縦長のブログはできれば縦で読みたいものだ)。また、小型のタッチパッドも感度そのものはいいのだが、狙った場所になかなか到達できないことが歯がゆさにつながったりする。バッテリーに関しても、Vistaモードで駆動時間2時間というのは短すぎる。せめて4時間はほしいところだろう。

 こんな感じで、好き嫌いが分かれる機種だが、こういうものを発売してしまうところにHTCの勢いを感じる。ガジェット感覚で持ち運べる小型でスタイリッシュなノートを求めている層、パソコンにケータイ文化を統合したような新しいコンセプトに共感を持つ層にはオススメの製品だ。

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