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ユーザーの権利意識は変わりつつある──インターネット村上社長に聞く(後編)

2008年04月03日 14時29分更新

文● 高橋暁子

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ボーカロイドには男性の声が必要?


 ところで、インターネットはDTMソフトの会社だ。

 ニコニコ動画がブレイクしたきっかけのひとつに「初音ミク」の存在も大きいが、このあたりはどう考えているのだろうか? エイプリルフールには、ニコニコニュースでGackt起用のボーカロイド「がくっぽいど」が登場するという話題もあった。

村上 NMMも、音声の編集機能を突き詰めていくと、DTMに近くなっていく。DTMのユーザーもニコニコ動画を使っている。特に初音ミク以降は、急激に増えている。

 VOCALOID 2は、もともとヤマハが開発したもので、クリプトンもそのライセンスを受けて製品の開発を行なっている。ライセンスさえ取得できれば、他社でも製品をリリースを行なえる状況がある。あとは音声データベースをどうするか、どういったパッケージ化を行なうかという問題だけになる。

 声優起用で、爆発的な人気を博した初音ミク、鏡音リン/レンだが、作品を作っていく上では、男性のボーカロイドも必要という雰囲気があるようだ。現状では初音ミクより前に発売された「KAITO」しかないので、改めて注目が集まっているようだ。

村上 簡単なツールを提供することで、ライトユーザーも動画を作り始めた。今後もっと自作動画が増えるかもしれない。YouTubeでもニコニコ動画でも、JASRACとの提携など著作権を尊重する方向での対応が進んでいるし、ニコニコでも、テレビ録画を丸投げするような動画は減っている。著作権を侵害しない動画を増やしていきたい。ぜひもっと自作の動画を作ってアップしてほしい。



権利に敏感になる「個人」


 同時にユーザーが自作の動画をアップロードしていく中で、権利意識も変わってきているのではないかと村上氏は話す。

村上 個人の「作品に対する権利意識」が高まっていると思う。NMMも利用規約の中に「NMMはフリーで提供しているが、ソフトウェアの著作権はインターネットに帰属する」といった主旨の文言を入れていた。しかし、「ユーザーが実際に作った動画の著作権も持っていかれるのか」と誤解される面もあって、一度利用規約を書き直している。
 当社としては権利ビジネスがやりたいわけではない。mixiの規約改定も問題になったが、敏感になっている面はあると思う。それと同時に、自分の権利を主張するためには他者の権利を尊重することも必要。これにより著作権に対する意識も高まっていくのではないかと期待している。

 ニコニコムービーメーカーで、さらに活性化する個人発の動画創作。ユニークなサービスで、独自の存在感を示しつつある株式会社インターネットは、その動向に注目したい企業のひとつだ。

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