ソニー(株)の「サイバーショット DSC-T300」は、背面のほとんどをタッチパネル付き液晶ディスプレーとした“スリム&スタイリッシュ”路線のコンパクト機だ。2007年9月に発売された「DSC-T200」(関連記事、810万画素)の後継モデルにあたる。
撮像素子が有効1010万画素に高画素化された以外は、屈曲式光学5倍ズームレンズ、光学式手ぶれ補正、3.5インチワイド液晶ディスプレーなど、主要なスペックはほぼ同じだが、顔検出をはじめとして随所に細かい強化や改良が施されている。
ズームレバーの改良で操作性向上
薄型ボディーに屈曲式光学5倍ズームレンズ、背面には3.5インチワイドサイズのタッチパネル液晶ディスプレーという基本デザインやスペックは、T200とほぼ共通だ。レンズの焦点距離はT200が35~175mmなのに対して33~165mmとやや広角になったが、これは撮像素子が1/2.5インチから1/2.3インチと大きくなったためで、レンズ自体は同じもののようだ。
外観上の変更点としては、レンズカバーの意匠がやや変更された点が目を引いた。レンズカバーを押し下げるとレンズが現われ、電源がオンとなって撮影可能になるのは従来どおりだが、T200は指でスライドさせる外側カバー1枚がレンズカバーとなっていた。一方、T300では外側カバー部の内側にもう1枚レンズを覆うカバーがあり、2枚が連動して動くようになった。
T200がレンズが閉じた状態では、カバーが上端まで覆うデザインだったが、T300では閉じた状態でも外側カバーがボディー中央部に残り、レンズは内側カバーで覆われる。もちろんこれは“非撮影時も奇麗に見える”というデザイン上の理由による変更だろう。後継モデルであっても細かいデザイン改良を施すのは、サイバーショットならではと言えようか。
またT200と比べると、ズームレバーの形状が変更された。T300とT200は、操作のほとんどはタッチパネルで行なえるのだが、随時操作するズームレバーは物理的なスイッチとしている。しかしT200では、薄型ボディーの上面右に小さなズームレバーがあるのみだったので、非常に操作しづらかった。
T300ではズームレバーを本体の右上角部分に配置することで、指掛かりを良くするとともにレバーの動作角を若干増やしている。レバーのような可動部が本体の角にあることは、本体を落としたりぶつけたりしたときのことを考えるとやや不安が残るところではあるが、確かにズーム時の操作性はかなり向上した。
そのほかには、本体右側のストラップ取りつけ部も小型化されている。T200ではかなり大きめの金具を採用することで、グリップ部(親指を置くところ)として使えるようになっていたが、本機ではひとまわり小さくなったので、指を置きにくくなった。レンズカバーの右端部分がやや分厚くなっていて指掛かりになるが、やはりホールドしやすさの点では心もとない。
タッチパネル操作を行なうときは片方の手でボディーを保持して、もう一方の手でスタイラスや指先で画面をタップする。つまり、右利きの人ならば左手でカメラ本体を保持することになるわけだ。一般的なコンパクト機では、シャッターを押す右手側にグリップを備えるもの。しかし本機のようなタッチパネル操作のカメラでは、左手側にもホールドを補助するため工夫があってもよかったかもしれない。
大幅に強化された撮影機能
外観や光学系の変化は小さいが、映像処理回路「Bionz」(ビオンズ)を利用した撮影機能部分は大きく変わっている。セールスポイントとして大きく謳われている“大人と子供を区別する顔検出”は、うたい文句どおりに動作するし、新たに採用された「スマイルシャッターインジケーター」も、カメラがどの程度笑い顔を認識しているかの目安になる。
顔検出自体の精度もかなり上がってきており、従来は認識しなかった真横を向いた顔も検出できるようになった。といっても、やはり正面かそれに近い角度より検出精度は落ちる。
また、顔検出を使った面白いレタッチ機能として、撮影済みの画像から顔を検出して笑顔にレタッチする機能(カメラ内レタッチ→スマイル)も追加された。スマイルレタッチは検出した顔から、“両目の眼尻を下げて唇の両側を引き上げる”ような処理を行なう。笑っていない顔でもやや笑い顔になるのは面白い。
そのほかに、ボケ気味の画像の指定した領域だけにシャープネスをかけて、ピントが合ったように見せるレタッチ機能「ピントくっきり補正」も追加された。
デジタルカメラの最近の流行である“自動シーン認識機能”も、「おまかせシーン認識」という名称で搭載した。おまかせシーン認識によって判別されるシーンは、逆光、逆光&人物、夜景、夜景&人物、三脚夜景の5種類である。
このうち、特に人物が入ったシーンでは、顔検出機能と連携が図られる。さらに、おまかせ自動判別では微妙なシーンの場合には、適合するシーンと通常のオートの2枚を撮る「アドバンスモード」も用意されている。
さらに強力なのが、今回追加された「Dレンジオプティマイザープラス」だ。Dレンジ(ダイナミックレンジ)を最適化することで、逆光時など高コントラストなシーンで暗部が潰れないようにする処理は、従来のサイバーショットや同社の一眼レフ機にも搭載されていたが、“プラス”ではこれをさらに強化して、暗部を大幅に引き上げる画像処理がかけられるようになった。
実際に利用してみると、暗部をぐっと引き上げつつ明部の明るさはいじらないため、暗い所がつぶれがちなシーンでもしっかり明るくなって面白い。ただし、暗部の引き上げはかなり強引な面もあって、不自然な印象を受ける場合もある。補正の強度を選択できるようにしてほしかった。また、Dレンジオプティマイザーをオンにした状態では、通常の撮影と同じく撮影後1秒前後で次の撮影が可能となるのに対し、Dレンジオプティマイザープラスでは撮影後の画像処理に約4秒かかってしまうのも気になった。
そのほかにも、常にオートマクロが働いて接写時のミスを防ぐ配慮がされたり、BGM付きスライドショー「音フォト」の収録曲数が増えたり(4曲→8曲)といった改良もある。顔検出画像を優先して表示する再生モードに、「子供の顔/大人の顔」といった選択肢も追加されるなど、細かいところまで改良されている。
