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Kseries開発者に聞く

ケンウッドの考える「オーディオ・ネットワーク」

2007年11月12日 00時00分更新

文● 編集部

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技術的な課題よりもデファクトを見極めるのが難しい


── コンセプトについて教えてください。

宮森 R-K711では、録音機能はステレオ側になくていいと割り切っています。再生に特化するという形でKseriesに取り組みましたが、光デジタル端子を備えており、パソコンを通じた録音にも対応できるようにしています。ここまで割り切れたのは、UDシリーズと平行していたからです。

 開発段階に、いろいろな評論家の先生にも見ていただいたんですが、非常に高い評価をいただきました。ある先生に試作機をお持ちした際には、自宅にあったパイオニアの「TAD Reference One」関連記事)につないでみようかという話になり、満足いくレベルでドライブできているとおっしゃっていただけました。

── 既存ラインアップとの関係はどうなりますか?

宮森 従来モデルのR-K700は併売しますが、それと同価格で、高域補完技術のSupreme EXなども搭載し、より高音質な再生を目指しています。

 より積極的にいい音を作っていこうということで、Media KEGと共通する技術を投入しました。ただし、単にそれを導入するだけでなく、CD自体の再生品質を向上させるモードと、圧縮音源の品質を向上させる2つのモードを導入しています。

CD用のモードでは、ソースの臨場感を感じるところを再現しようとしたもので、圧縮音源を聞くと若干物足りない印象になるかもしれません。圧縮音源の場合は、高域の不足感を積極的に補う必要があるため、専用のモードを設けています。これらはソースによって(非圧縮のリニアPCMか圧縮音源かどうかで)自動的に切り替わるため、ユーザーは意識する必要はありません。圧縮音源に関しては、CD-Rに書き込んだ、MP3やAACも高音質になるので、パソコンのライブラリーをCD-Rに焼いて聞けば、パソコンの干渉から解き放たれた高音質な再生というのも可能です。

── SLG-7のような機器との連携に関してはいかがでしょうか。

宮森 SLG-7は、Media Kegの商品企画を担当している福山とふたりで協力しながら進めました。そういう意味では、お互いのやっていることを把握した形で、HD60GD9のような機器との連携性もうまく取れていると言えますね。

── 過去のオーディオ関連ショーでは、Media Kegに無線のモジュールを組み込んだデモなども行なわれていたと思いますが関連記事)。

福山 あれはDLNAの仕組みを利用したものですね。DLNAに関しては研究を進めています。ネットワーク化に関しては、無線LANやBluetoothなど、これ以外にもさまざまな選択肢があり、答えを探している段階です。研究は進めていますが、技術を準備している段階です。

 Media Kegに無線LANを入れることは特別難しくはありません。しかし、ネットワークの環境がどれだけ受け入れられるのか、受け側の機器の対応はどうかといった問題が生じます。ある機器とある機器だけで使えるというものよりは、1対nの環境が構築できるのが理想的です。どういうフォーマットを使い、どういったネットワークを構築するかのデファクトが何なのかは見据える必要がありますね。

 DLNAに関しては、モジュール化して販売できるレベルまで小型化が進んでいます。しかし、商品化するときに問題になってくるのがノイズの問題です。まだ影響を排除することが難しい。

 技術的な観点では消費電力の問題があります。ワイヤレスに対応すると再生時間が短くなるが、どの程度まで許容してもらえるのか。そのへんの検討も必要になるでしょう。

宮森 そういう意味で、土台のプラットフォームとして最低限光入力は付けておこうと考えています。ベースの部分を整備した上で、次のフェーズに進むといった形です。一足飛びの進化はなかなかむずかしいという面はありますね。

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