12月13日、IDC Japanは、2008年の「国内IT市場10大予測」を発表した。同社は「IT市場を牽引する鍵は中小企業が握る」と述べる。
SaaSによって再認識するIT化の企業メリット
「セールスフォース・ドットコムを採用した株式会社ゆうちょ銀行に代表される大企業の導入事例が登場したことで、SaaS導入を検討する企業が増えている。その動きは来年も加速する」。2008年のIT市場の動向についてIDC Japan リサーチバイスプレジデント 佐伯純一氏はこのように語る。「企業はSaaSによって業務の効率化やコスト削減などIT利用のメリットを再認識することになる」と佐伯氏はSaaS市場の成長を予想する。
IDC Japanの調査によると2008年の国内IT市場の年間成長率は、前年比2%増と予測されている。とりわけSMBのIT投資は過去数年4~5%の成長率で推移しており、「SMB市場がIT市場拡大の鍵を握る」と佐伯氏はその重要性を指摘する。「2008年に成長が見込まれるSaaSやVoIPを提供するベンダーは、中堅中小企業のマーケットを狙っている。さらに日本版SOX法などのコンプライアンスに対する投資を駆け込みで実施する中小企業も多い」と佐伯氏が述べるように、2008年はSMB市場のIT導入が注目される1年となる。
なお、同社が発表した「2008年国内IT市場10大予測」は下記の通り。
- オンデマンド型SaaSの利用がSMBを中心に急拡大する
- サーバを中心に仮想化への取り組みが本格化する
- グリーンITへの取り組みが企業のステータスを向上させる
- コンプライアンスへの対応がIT投資の伸びを下支えする
- データセンターサービスの利用が拡大し、コロケーションからホスティングへ需要がシフトする
- シンクライアントの導入が本格化する
- SMB市場がIT市場拡大の鍵を握る
- 高速無線通信に向けたインフラ用機器と、その端末機器のそれぞれで主導権争いが始まる
- 企業VoIP市場の裾野が拡大する
- サービスの共同利用化が進み、アウトソーシングが拡大する