信頼できる「場の空気」はいかにして生まれたか? 「発言小町」に見る読売新聞社のCGM観(後編)
2007年12月10日 09時00分更新
インターネットの登場により、既存メディアはいま転換期にある。ではメディアの古典である新聞はインターネットをどう生かすのか? それとも新聞はネットの大波に飲み込まれるのか? この連載では各新聞社のキーマンを直撃し、彼らのネット戦略や時代認識を読み解いていく。
今回は読売新聞社が運営しているQ&A掲示板「発言小町」を紹介しよう。
「交際相手が実はバツイチで子供もいた」の相談にはレスが殺到!
ニュースサイトの「YOMIURI ONLINE」では、女性をターゲットにした生活情報ページ「大手小町」を提供している。その中にある「発言小町」コーナーは、ユーザーが悩みごとや相談などを投稿し、それに対してほかのユーザーが次々にレスをつけていく掲示板だ。
結婚・恋愛や子供のこと、健康などジャンルは幅広く、盛り上がるトピックスには膨大な数のレスが殺到する。
例えば「結婚を考えていた交際相手の女性が実はバツイチで、子供もいるとわかった。どうすればいいでしょうか?」という相談では、レスの数が20ページ以上にも渡った。いわばYOMIURI ONLINEの目玉商品である。
「コーナーが知れ渡ったのはあっというまだった」
読売新聞東京本社のメディア戦略局局次長、根本千尊氏は、1999年10月に大手小町がスタートした際、現場のデスクだった。いわば生き証人である。根本氏は言う。
「女性向けのコンテンツをぜひ作りたい、という当時の部長の意向があり、部長のアイデアで、大手小町が生まれました。コンテンツ作りを担当したセクションは、当時の『メディア企画局開発部』でした。いや、それはもう部内の正社員や派遣社員など、とにかく女性スタッフをかき集めてアイデアをもらいましたよ。その中でも発言小町は、双方向性のあるコンテンツを作ろうとの意図でできたものです」
料理や育児など生活関連の記事がならぶ大手小町にあって、発言小町は読者に向け、「とにかくお題は何でもいいから質問してください」という趣向である。
「発言小町がスタートした頃、最初は知り合いに『ぜひ投稿してくれ』などと頼んでいました(笑)。今でこそすばやく書き込みが画面に反映されますが、以前は『1週間も前に投稿したのにまだ載らない』などと、メールでお叱りがきたこともありますよ(笑)」
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