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栗原潔の“エンタープライズ・コンピューティング新世紀” 第15回

エンタープライズサーチの真の価値を探る(5)――サーチとBIとのもうひとつの関係

2007年11月15日 22時30分更新

文● 栗原潔

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本当はサーチベンダーがBIベンダーを買収すればよかったかもしれない


 ところで、余談になるが、先日、米IBMが大手BIベンダーの加コグノスを買収すると発表した、それ以前には、独SAPが米ビジネスオブジェクトを買収しており、独立系の大手BIベンダーは米SAS Instituteくらいになってしまった(SASは非上場企業なので、よほどのことがない限り他社に買収されることはないだろう)。

 BIのテクノロジーはコモディティー化が進行しており、ほかのアプリケーションやソリューションと統合して価値を生み出す方向に進んでいる。そのため、ベンダーの吸収合併が行なわれるのは必然的な流れだ。

 しかし、筆者は個人的にはノルウェーのFASTなどの大手サーチ・エンジンベンダーがBIベンダーを買収した方が話がおもしろくなったのではないかと思っている(IBMもOmnifindという優れたサーチ製品を所有しているが)。

 結局のところ、BIとサーチのハイブリッド化はお互いが歩み寄る形で進んでいる。両者が完全にひとつのカテゴリーにはないだろうが、両者の境界領域から新しい差別化要素が生まれてくる可能性は高いだろう。よく言われることだが、企業内にあるデータの80パーセントは非定型データである。非定型データを何らかのかたちで管理しなければ、真の意味での情報管理を達成できたとは言えないのである。


筆者紹介-栗原潔

著者近影 - 栗原潔さん

(株)テックバイザージェイピー代表、弁理士。日本IBM、ガートナージャパンを経て2005年より独立。先進ITと知財を中心としたコンサルティング業務に従事している。東京大学工学部卒、米MIT計算機科学科修士課程修了。主な訳書に『ライフサイクル・イノベーション』(ジェフリー・ムーア著、翔泳社刊)がある。


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