SAPジャパンは11月13日、CPM(企業業績管理)ソフトの新製品として、「SAP Business Planning and Consolidation 5.1」の日本語版を発表、同日から出荷を開始した。
Excelに独自関数を追加、DBとの連携で使いやすく
「昨今、見える化が叫ばれているが、見えるだけで終わっている状況。これからは、見えたものを実際の経営管理や計画へ活用するといった、一歩先へ進めなければいけない」――。SAPジャパン バイスプレジデント、パートナー&マーケティング統括本部長の安田 誠氏はこう呼びかける。
独SAPは、今年5月、CPM(Corporate Performance Management:企業業績管理ソフト)ソリューションを手がける米アウトルック・ソフトウェアを買収(関連記事)。これを受けて今回発表されたのが、アウトルック社の技術を取り込んだ新製品「SAP Business Planning and Consolidation 5.1」(SAP BPC)である。
安田氏は、アウトルック社買収の狙いを「これまでの単体のソリューションから、ビジネスの基盤を扱うSAPと連携・統合することでより使いやすくなる」と説明。また、同社バイスプレジデント、ストラテジック・インダストリーソリューション統括本部の桐井健之氏は、「CFO(最高財務責任者)の課題が、従来ERPでサポートしていた業務処理から、意思決定へとシフトしている」と話した上で、「意思決定の分野ではITツールの活用が遅れている」と指摘。CFOの課題解決のために、CPMの活用が不可欠と強調した。
SAP BPCは、計画立案、予算編成、見込管理、連結管理などの経営管理業務を支援するソフトである。データの入力にはMicrosoft Excelを利用。Webブラウザから閲覧できるポータル機能を持ち、作成済みのレポートの閲覧や、グラフを使ったビジュアルな画面で経営情報を把握できる「経営ダッシュボード」機能を提供する。
入力にExcelを使うのは、「実際に企業で経営管理に使われているのは、Excelが多い。Excelのインターフェイスをそのまま利用できるほうが使いやすい」(ソリューション本部エンタープライズマネジメントFCMの羽仁 亨氏)ため。Excel用プラグイン「BPC for Excel」によって、BPC独自の高機能関数の利用や、BPCのデータベースとの連携を実現。実際には、Excelベースの既存の予算管理表などに対して独自関数を割り当てて利用する。操作性は変わらず多次元分析などの豊富な機能が使えるようになるほか、子会社に対してファイルを配布・入力させる際の集計の手間を軽減できるメリットもある。
価格は非公表だが、サーバライセンスおよびユーザーライセンスで構成。「旧アウトルック社の製品は10数社の既存顧客があり、すでに数社からの引き合いがある」(桐井氏)といい、まずはSAPユーザーをメインターゲットに売り込むことで、顧客基盤の拡大を図る。また、旧アウトルック社の代理店だったベリングポイントおよびOutlookSoft Japanとの協力関係を維持するとともに、新たなパートナーの開拓も進めるとしている。