「ブレード」はワークステーションの新しいあり方
ブレードワークステーションに関しては、独立したセッションが用意され、CPUにデュアル構成のクアッドコアXeonプロセッサー、グラフィックスカードにNVIDIA FX1600を搭載したブレードを、シンクライアントから利用するデモが行なわれた。
セキュリティーの高さや管理の容易さという観点で注目を集めているブレードPCだが、ブレードワークステーションではより高性能なCPUとグラフィックスチップを利用し、遅延の許されない金融取引や高解像度の画像を扱うCADなどへの応用も視野に入れた製品となっている。第一世代の製品「HP ProLiant xw460c Blade Workstation」は今年4月にリリースされた。
最初の事例となったのは、ロンドンに拠点を置く、ロイズTSB銀行である。ロイズでは、オンライントレーディングのためのマシンとして、HPのブレードワークステーションを採用。製品のリリースに先行して、2006年から運用を開始している。
オンライントレーダーたちは、机の上に複数台のディスプレーを並べ、株価や為替の動きをリアルタイムに表示しながら取り引きを行なっている。そのために使用するマシンはこれまで足下にまとめて設置されていたが、机の周辺に広いスペースが必要になることや熱や騒音などが問題になっていた。また、マシンに不調が発生した際には、管理者が机の下にもぐって対応しなければならないなど、運用面での課題もあった。
一方、ブレードワークステーションでは、実際の処理を行なうPCの主要部分は薄型の筐体(ブレード)として、マシンルームのラックに数十台をまとめて収納できる。ユーザーはシンクライアントを使って、ネットワーク越しにブレードを操作するので、スマートな設置が可能だ。
クライアントマシンは、Windows XPが動作するパソコンであれば機種を問わない。VPNなどを経由してブレードに接続することで、出張先や自宅など、普段勤務している場所以外でもまったく同じ操作環境を得られるといった利点に加え、エンドユーザーに対して送られる情報は画面の表示内容のみとなるため、データの持ち出しを防げるといったセキュリティー面での利点も持つ。