三洋電機(株)は30日、記録媒体にSDメモリーカード(SDHC対応)を採用するデジタルムービーカメラ“Xacti”(ザクティー)『DMX-HD1000』の発表会を都内で開催した。フルHD解像度(1920×1080ドット)での記録に対応する。発売は9月中旬で、価格はオープンプライス。予想実売価格は12万円前後(メモリーカードは付属せず)。
DMX-HD1000は、民生用フルハイビジョンカメラとしては世界最小という、幅90×奥行き54.5×高さ112.6mmという本体サイズが特徴。体積は272ccで、重量は268gと世界最軽量だという。このサイズ・重量を実現できたのは、撮像素子にCCDセンサーより低消費電力なCMOSセンサー(1/2.5インチ、有効400万画素)を採用したことと、同社が新たに開発した映像処理LSI“プラチナΣエンジン”によるという。
プラチナΣエンジンは動画と静止画の圧縮処理を1チップでこなすコーデックエンジン。4.2Wという低消費電力で駆動するため発熱が少なく、筐体を小さくすることができた。連続撮影時間は標準バッテリーで2時間。同社によると、ハイビジョンビデオカメラとしては最も少ない消費電力だという。
また、プラチナΣエンジンは動画と静止画の圧縮処理を同時に行なえるため、動画撮影中に静止画の撮影も可能となっている。動画フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264だが、AVCHD形式ではなく、MPEG-4形式(.MP4)で保存される。静止画は最大800万画素相当での撮影が可能だが、動画との同時撮影時は200万画素相当での撮影となる。静止画保存形式はJPEG形式。
Xactiシリーズは縦型の撮影スタイルが特徴的だが、今回の新製品はこのデザインを見直した“新エルゴノミクスデザイン”を採用する。具体的には、レンズとグリップの角度が105度になっている。これは、同社が千葉大学大学院の教授らとともに従来のXactiのデザインを再検証した結果、レンズとグリップの角度は105度が理想的であるとの結論に達し、それを今回の新製品に適用したという。
新製品ではUSBホスト機能を搭載し、付属のクレードルを使うことで外付けストレージに対するデータの読み書きが可能となった。クレードルにはXacti専用端子のほかにUSB 2.0、HDMI出力などが備わっており、Xacti本体および液晶テレビ、USB接続の外付けHDDなどを接続することで、Xactiに保存された映像をHDDに保存したり、逆にHDDに保存された映像や画像をXacti経由でテレビに表示して見ることができる。これらの操作はすべて付属のリモコンで行なえる。
そのほか、静止画撮影時はISO 3200の高感度撮影が可能で、さらに7コマ/秒の連続撮影も行なえる(記録は400万画素相当)。さらに手ブレや被写体ブレ、回転ブレなどを補正する“マルチぶれキャンセラー”や、オートフォーカス時の“顔検出”機能も搭載する。
2010年にはHDを60分撮れるメディアが1000円で買える!?
発表会では、三洋電機の久保盛弘氏がXactiの戦略などについて語った。
同氏は近年、ビデオカメラの記録媒体の“メディアシフト”が起こっているとし、中でもシリコンメディア(メモリーカード)の拡大率が大きいと指摘。シリコンメディアの課題であるコストに関しても、NAND型フラッシュメモリーの価格が急激に値下がっており、同氏は「2010年にはハイビジョンを1時間撮れる容量のメディアは1000円程度」になると予測した。
また、ビデオカメラの市場規模について同氏は、ワールドワイドで1500万台になっているとし、2000万台に向けて今後も拡大していくと予想。Xactiについても、今年の上期で出荷台数が100万台を超えたことを明らかにし、これは年率で換算すると40~50%の伸び率だとした。その上で同氏は、Xactiについて2010年までには150万台の出荷を目指したいと語った。