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エンタープライズコンテンツ管理の真の価値とは――EMCの場合

2007年08月28日 20時21分更新

文● アスキービジネス編集部

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日本版SOX法の対応や内部統制の整備が求められる中、注目度を上げているソリューションのひとつに、ECM(Enterprise Content Management:企業内コンテンツ管理)がある。そのECM市場における主要ベンダーの1つが、2003年にドキュメンタムを買収したEMCだ。EMCジャパンは、8月28日、プレス向けラウンドテーブルを開き、ECMの考え方と具体的なソリューションについて改めて紹介を行なった。


コンテンツを軸としたワークフローを実現するECM


エンタープライズコンテン ツ管理の真の価値とは――EMCの場合

(左から)EMCジャパン プリンシパル ソリューションエンジニアの仲谷岳志氏と、マーケティング総括本部ソフトウェアマーケティング部長の中野逸子氏

 ガートナーの2006年の調査によると、ECM(Enterprise Content Management:企業内コンテンツ管理)市場全体の規模はグローバルで3000億円程度。このうち、日本が占める割合は4%弱、成長率も8.5%と決して高くはない。だが、EMCジャパンマーケティング総括本部ソフトウェアマーケティング部長の中野逸子氏は「日本においてニーズがないということではないと思う。むしろ我々ベンダー側の努力が足りなかった。日本のECMマーケットはこれから立ち上がっていく」という。

 ガートナーの資料では同市場のプレーヤとして、オープンテキストやステレント(昨年11月にオラクルが買収)などの専業ベンダーに加えて、マイクロソフトやSAPなどの統合ベンダー、あるいはWCM(Web Content Management)系のベンダーもいくつか含まれている。このことは、ECMの定義をややあいまいににしている面はあるだろう。ECMあるいはCMSが持つ機能は一様ではなく、また、従来型の“文書管理ソリューション”との違いが分かりにくいのも事実だ。そもそも、ECMとは具体的にどのようなものなのだろうか。

「ECMとは、あらゆるタイプのコンテンツ(情報)を一元的に管理し、その上にさまざまなサービス(機能)の乗せたもの」と中野氏は表現する。ここでいう“一元的に”とは、単一のリポジトリにあらゆるコンテンツを集約・格納することを意味する。その上で、文書のチェックイン・アウト(編集時の排他制御)や版(バージョン)管理、フォーマット変換、横断検索などの機能を提供し、ユーザーは専用のクライアントソフトやWebブラウザ上から、これらの機能を利用できるようになる。

 だが昨今、内部統制などの観点から注目を集めているのは、むしろ、コンテンツを軸として業務プロセスの管理を自動化できる「ワークフロー」の機能だろう。たとえば販売/購買プロセスでは、取引先からの注文書や契約書などの文書をもとに、与信や契約チェックを行なう業務がある。ECMで構築されたワークフローシステムでは、営業管理の担当者が発注書面を登録すると、経理部門に対して与信承認を求めるワークフローが回り始める。経理の次には法務部門による契約チェックへと進み、ひと通りの流れが完了すれば、出荷依頼をかける。書面はあらかじめ定められたルールに基づき、一定期間保存された後に適切に廃棄される。

 EMCジャパンが提供する「Documentum」の場合、こうした一連のフローや画面設計をGUIツールを使って行ない、「カスタマイズではなく“コンフィギレーション”(設定)」(EMCジャパン プリンシパル ソリューションエンジニアの仲谷岳志氏)で構築できるようにしている。パートナー企業は、業務フローごとの設定をテンプレートとして提供することで、比較的低コストでワークフローを含む業務システムを構築できるようになる。

 こうした特徴から、中野氏は「コラボレーションだけ、あるいはWebコンテンツだけ、でなく、文書管理を含めたエンタープライズアプリケーションの開発基盤になりうるものが、本当の意味でのECMといえる」と話す。

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