日本オラクルは8月6日、中堅・中小企業のうち、売上高1000億円以下、従業員数1000名以下の企業向けのビジネスを推進するための新たな戦略を発表した。
専任組織を設置し、支援体制を強化
日本オラクルでは従来からオラクル・ダイレクト(Oracle Direct)などの手段を通じて、中堅・中小企業向けの製品情報の提供や技術支援などを行ってきた。だが、同市場ではSIやパートナー企業など、多数の“ステークホルダー”が関わり、複雑な状況になっている。同社はこうした認識を踏まえ、パートナー企業やエンドユーザーに対して製品や技術情報などを届けるとともに、より深い技術支援やサポート・サービスを提供することで、中堅・中小企業向けビジネスの推進を加速するとしている。
具体的な取り組みとして本日発表されたのは、
(1)中堅・中小企業向けの専任組織の発足
(2)「オラクル都市伝説」キャンペーンの開始
(3)技術者応援プログラムの提供開始
の3つ。
(1)では、専任組織として「クロスインダストリービジネス推進本部」を設立した。組織内部には、「戦略開発部」「ISV推進部」「クロスインダストリー営業部」「クロスインダストリーSC部」などを含む。中堅・中小企業がオラクル製品を採用するのに必要となる要件をパートナーへのヒヤリングやユーザーへのアンケートなどの調査によって収集し、その声を反映した製品やプログラムを投入するという。
(2)の「オラクル都市伝説キャンペーン」は、日頃の営業活動やセミナーにおけるアンケートなどを通じて得たフィードバックを分析し、オラクルを正確に理解できる環境の整備に努める取り組みの一環。「オラクルは高い」「オラクルは難しい」「データベースは何でもいい」といったさまざまな“誤解”を“都市伝説”と呼び、正しい情報を発信することで誤解の解消に努めるという(キャンペーンサイト)。
(3)では、技術者向けの技術情報提供を強化する。具体的な目標として、年間500回超のセミナーを開催、延べ5万人以上に無償で技術情報を提供するという。従来、セミナーの開催回数は年間約200回程度だったといい、2倍以上の規模に拡大されることになる。さらに、アンケート等で寄せられた要望に対応し、終業後の夕刻や週末のセミナーを拡充するなど、より参加しやすいプログラムとする。
また、パートナー企業への技術情報提供やサポートを強化し、現在のパートナー社数800社を年内に倍増(1600社)させることを目標としている。
説明を行なった同社の常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤 智光氏は、都市伝説キャンペーンを始めとする各種取り組みについて、「やるからには目立たないと意味がないし、おもしろおかしく」と表現。
こうした情報提供を考えた背景について、「中小企業では“もっと分かりやすく、もっと簡単に、もっと安く”という要望が強い。製品面ではこれに応える自信があるが、それが市場に伝わっていない。たとえば、中小企業向けのデータベース製品『Oracle Database Standard Edition ONE』を提供しているが、その存在すら知られていないことが珍しくない」と話している。