ポイントは「シンプル」「リアルタイム」「SOA」
クイン氏は、「オペレーショナルBIを実現するにはポイントが3つある」と話す。それは、(1)シンプルさ、(2)リアルタイム性、(3)SOA(サービス指向アーキテクチャ)の実現、だという。そしてWebFOCUSは、実際にこの3点に強みを持つ製品である。
(1)シンプルさ
オペレーショナルBIでは、ユーザーが迷わずレポートを作成できる“使いやすさ”が重要になる。とはいえ、使いやすさは企業や業務用途によって異なるものであり、多様な用途に使われるBIでは一概に規定することが難しい。
そこでWebFOCUSでは、あえて標準的な共通のユーザーインターフェイス(UI)を持たず、自社に合ったUIを導入企業が作成して使う形をとっている。UIとなるHTMLページをGUIで作成できる「Developer Studio」を用意しており、「パラメータを選択する形のレポート画面であれば、1時間程度で作ることができる」(クイン氏)という。標準的なHTMLをベースにしているため、既存の企業内ポータルに組み込んだり、他のシステムと組み合わせたカスタマイズも容易だ。
また、オフライン環境でWebブラウザだけで分析を行なえる独自のレポートファイル形式「アクティブレポート」や、Google検索アプライアンス(GSA)と連携するソリューション「Magnify」など、ユーザーの使い勝手を高めるさまざまな機能を備えている。
(2)リアルタイム性
業務プロセスにBIを組み込むには、さまざまなデータを業務上の適切なタイミングで見える化していく、リアルタイム性が必要となる。先のエア・カナダの事例のように、WebFOCUSではDWHだけでなく、複数の基幹系システムのデータを直接、リアルタイムに取り込むことが可能となっている。「他社のBIはDWHを必要としている。WebFOCUSでは、DWHになる前のリアルタイムなデータに着目している」(クイン氏)。
(3)SOAを実現
レポーティングを行なっても、実際の業務ではユーザー自身が適切な判断を加えていく必要がある。WebFOCUSでは「特定のイベントが発生した際に、どういった動きをすればいいか定義可能」(クイン氏)であり、エア・カナダが実現したように業務の一部を自動化できる。これは、WebFOCUSがデータ連携のためのミドルウェア群「iWay」を持っており、基幹系のシステムともSOA連携を図れるためである。
日本企業に適したオペレーショナルBI
オペレーショナルBIを実現するさまざまな機能を持つWebFOCUSだが、日本ではBI自体への経営者の関心が低いという調査会社のレポートもある。クイン氏はその理由について、「プロセスの効率化とBIの活用が結びついていないから」との見方を示す。これまでのBIツールの多くが、経営主導・トップダウン型の欧米企業向けのものだった。これに対して、日本企業は、現場が強い権限を持つボトムアップ型が多いといわれる。そのため、むしろ「WebFOCUSのようなオペレーショナルBIは、日本企業に適しているのでは」(クイン氏)。
実際、日本での販売を担当するアシストによると、オペレーショナルBIのコンセプトを打ち出した2004年からの3年間で、WebFOCUSはこれまでの約2倍にまで販売実績を伸ばしたという。
今年6月には発売された新版「WebFOCUS 7.6.1」では、アクティブレポートの機能強化や、Microsoft Officeとの連携強化を盛り込み、エンドユーザー自身が直接レポートを定義できる「パワーペインタ」が追加された。今後は、Magnifyと他の検索エンジンとの連携や、モバイル対応の強化、さらなる業務プロセスとの統合を打ち出していく計画だ。「WebFOCUSは、より現場の人々が簡単に使える、オペレーショナルBIにフォーカスしていく」とクイン氏は話している。