今回の発表があった19日の夜には、日本のプレス関係者にも、ビデオチャットで、フランスに滞在中のYouTubeの幹部(共同創業者で、CEOのChad Hurley氏と同じくCTOのSteven Chen氏など2名)に対して質問できる機会が用意された。
日本ではケータイ向けのYouTubeに注力
CTOのSteven Chen氏の説明によると「動画自体は全世界共通のデータセンター内に格納されており、国ごとに動画を保存するサーバーを変えるといった処置は行なわない方針だ」という。YouTubeのサーバーに保存されたコンテンツに関しては、基本的に全世界からアクセス可能になる。
ただし、これは個人がアップロードした動画の話で、パートナー企業が提供したコンテンツに関しては多少事情が異なる。CEOのHurley氏は著作権などに関わる交渉に関しては「異なったことを異なった形で提供していく」と述べ、法律面だけではなく、ビジネスモデルなども含めてそれぞれの国の事情に合った対応を行なっていくと方針を説明した。
日本でもスカパーが、YouTubeのパートナーとして名乗りを上げたが、提供される映像に関しては、IPアドレスによってアクセス元の地域を判別し、視聴できる地域とそうでない地域を分けるといった施策も採られるようだ。
出し渋ってもしょうがない
また、コミュニティーが育成されれば、広告のあり方も変わる。質問に対してChen氏は「まずはユーザーの利便性を重視する。広告にはいろいろな方法があるが、どんな可能性があるかを学習しているところだ。ユーザーが見たいと思う広告を提供していくのがひとつのアプローチとなるだろう」とのみコメントしたが、コミュニティーや地域を絡めた広告(特にモバイルデバイスとの連携は効果的に感じる)は当然視野に入れているだろう。
いずれにしても、各地域にコミットした施策によって、YouTubeがどのように変わっていくかは興味深いところだ。これを機会に日本のコンテンツ会社も出し渋りせず、自社のコンテンツをどしどしとYouTubeに上げていってはどうだろうか?
月刊アスキー中西の邪推
「TubeはTubeでも土管じゃイヤン」
APIを広く提供したことで、YouTubeはインフラになってしまった。ユーザーは動画ストレージとしてYouTubeを利用する。実際に様々な人がアクセスして盛り上がるのは、ブログだったり、“ニコニコ動画”のようなサービスで、YouTube自体にはユーザーが集まらないような状況があるのではないだろうか。日本の場合は特にそうだ。
YouTubeが土管、つまり“単なるインフラ”になってしまうと、サイトにユーザーを集めて広告収入を得ることもできず、ビジネスとしての発展性が乏しくなる。そこで、ローカライズに思い立ったのではないか?
でもローカライズは単なる一歩に過ぎない。そこから各国向けにいろいろな機能を作り込んで、(日本向けだと、動画の画面上にコメントを載せられるようにするかもね)、各国のユーザーが直接YouTubeに集まるようにすることを目指してるのではないだろーか。