グーグル(株)は2日、動画共有サイト“YouTube 日本語版”の事業戦略に関する説明会を開催した。
この説明会でグーグルが伝えたかったのは、著作権侵害の温床というYouTubeのダーティーなイメージを払拭し、企業(とりわけコンテンツ会社)を、YouTubeに積極的に参加させたいということに尽きる。
指紋技術は近く正式投入される見込み
YouTubeでは現在、米グーグル社が開発した動画/音声のデジタル指紋技術を試験運用中で、近く正式運用する予定(発表会での発言では数ヵ月中に)。グーグルの米国本社から来日した、コンテント担当副社長のデービッド・ユン(David Eun)氏は、著作権侵害への対策は「50%以上のシェアを持つものの責任」と話す。
ただし、ユン氏は、インターネット上での動画配信はあくまでも初期の段階にあり、指紋技術も1つの側面に過ぎないとした。
人力ではなく、技術で著作権侵害に取り組む
説明会後の質疑応答では、先月末にヤフー(株)とJASRACとの間で交わされたガイドラインに触れながら、YouTubeとしてのスタンスを問う質問も投げかけられた。このガイドラインでは、投稿を受け付けるサイト側が著作権を侵害しているコンテンツをチェックし、削除することが明確に決められているという。
これに対して、代表取締役社長の村上憲郎氏は「ヤフーとJASRACの関係に関しては、報道では知っているが、詳細は知らないため、コメントは控えさせてもらいたい」とした。ただし、日本音楽著作権協会(JASRAC)および23の権利者団体との協議も進めており、「満足いく形にはなっていないが、進捗しつつあるということは理解いただいている」(グーグル代表取締役社長村上憲郎氏)と話す。
村上社長は、著作権保護に対するグーグルのアプローチとして下記の2点を挙げた。
ひとつはアップロードされたコンテンツの権利を誰が持って、どういう状況にあるかを掌握することは難しく、「自主的にチェックして落とすという行為は正しいようで正しくない」と考えていること。もうひとつは、著作権侵害に対する対策は「人力ではなく、あくまでも技術的に解決していくメドを持つことが大切である」ということだ。
