Google Appsは始まったばかりだ
ゴフ氏は「エンタープライズサーチの世界で、80%のマーケットを狙う」と話す。グーグルが主軸を置くのは、コアとなる検索のR&D(研究開発)の部分だ。レガシーシステムの検索をはじめとした、その周辺のソリューションに関しては、公開したAPIを通じて、システムインテグレーターと協業しながら、特化したソリューションを考えていくという。それには、企業システムの検索だけではなく、Eコマースやコンプライアンス、デジタルディスカバリーといった分野も含まれるという。
ファイヤーウォールの外側からの検索という点でも、いくつかのソリューションが用意されている。例えば、モトローラーとの協業の中で生まれた携帯電話からのエンタープライズサーチはその1例だ。
また、ファイヤーウォールの中ではなく、パブリックなサイトでの検索となるが、“Google Custom Search Engine”という技術もある。これは検索対象となるサイトや検索結果のページデザインなどをカスタマイズ可能にするサービスで、複数ユーザーで共同作業を行なうユーザー──特にグローバル企業などで利用する場合に便利なほか、企業が競合他社の状況をトラッキングしていくような用途でも有効だという。
Google AppsとGoogle 検索アプライアンスの連携に関してもすでに実現されている。例えば、Google Appsに含まれる“Google StartPage”(ログイン画面をカスタマイズできるポータル機能)内には、検索アプライアンスを呼び出すためのモジュールを組み込むことが可能だ。こちらに関しても、APIを使った簡便なインテグレーションを実現するというコンセプトは同様だ。
インタビューの中で、ゴフ氏は「いまのGoogle Appsは、あくまでも始まりに過ぎない」とも語っていた。同氏は、同社の提供するブログシステム“Google Blogger”やオンライン上でディスカッションが行なえる“Google Group”といったサービスに加えて、動画共有サービスの“YouTube”が、Google Appsの機能に採用される可能性があることも示唆した。
「YouTubeだって、ビジネスの世界に入ってくる可能性があるんです。いずれにしても、われわれは何千万人のユーザーとテストしながら、使いやすいアプリケーションの開発を行なっているのです。機能はもちろんですし、ユーザーがどういう使い方をしているか、パーソナライズの機能も提供していきます。同じ人であれば、会社でそれを使ってもニーズは変わらないと思うんです」。