このページの本文へ

グーグル担当者に聞く、エンタープライズサーチの現在

「ITマネージャーの多くは、検索の専門家になりたいわけではない」

2007年06月12日 00時00分更新

文● 小林 久 (編集部)、協力●中西祥智(月刊アスキー)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アップルやインテルとの経験が、グーグルを強くした


──リンク数などに応じて、検索順位を決める“ページランキング”の仕組みは、インターネットという数多くのサイトが存在する環境だからこそ威力を発揮します。狭い企業の中でも真価を発揮できるのでしょうか?

Gough ページランキングは確かに有名な技術ですし、理解しやすい技術とも言えます。しかし、現在の検索にはこれ以外にも数多くの技術が用いられているのです。グーグルは約5年前に、Googleの検索サイトと同じコードをアプライアンスの中に収めて提供し始めましたが、その2年後には新たな検索アルゴリズムの導入を行なうことを決めました。

 7000社を超す主要顧客との間──具体的には、アップル、インテル、ボーイングなどが挙げられますが──と協業していく中で、「エンタープライズサーチに何が必要か」をいろいろと学ぶ機会があったのです。その中で、企業向けには、従来とは異なる“新しいアルゴリズム”が必要だと気付き、特別に検索の精度を高める部隊を組織し、エンタープライズサーチに特化したアルゴリズムの開発を行なったのです。

 例えば、「ページの中に頻繁に登場する語句は何なのか」「ページのタイトルや種別は何なのか」とか、それが「左側のナビゲーションに使われているリンクなのか」それとも「ハイパーリンクやタイトルなのか」といった情報を解析しています。



ページランキングが使えないグーグルは怖くない?


──ページランキングという強力な武器が封じられているグーグルは怖くないと話す競合他社もいるようですが。

Gough 非常に単純な議論だと思います。まず、グーグルはこの8年間にどの企業よりも速いペースで革新を行なってこれたことを思い出してください。われわれはユーザーにフォーカスを置くことで、検索に対して非常に多くのことを学んできました。かつては、コンシューマでの経験が企業でどれぐらい生かせるのか疑問視する声もありました。しかし、現在ではこの経験がエンタープライズでも大きな武器になると考えています。

 その理由のひとつは「自社の検索でもGoogleと同じような機能を利用したい」と要求する声が非常に多いことが挙げられます。簡単な例を挙げましょう。“Britney Spears”という歌手について調べる際に、ユーザーは本当にいろいろなつづりで検索しています。しかし、グーグルは過去の膨大な経験から、それらが同じものを指し示しているということを知っています。どの会社よりも大きなスケールで学んでいるのです。

 また、われわれは検索というコアコンピタンスに対して、非常に多くの投資を行なうことができます。ウェブサーチの市場はエンタープライズサーチの市場よりも何倍も大きく、エンタープライズサーチに特化した企業が研究開発に割ける費用はそれほど多くはないでしょう。

 エンタープライズサーチを手がける企業の多くは、基本的にファイヤーウォールの中で技術を開発しています。実際にユーザーがどんなふうに検索を行なっており、成功しているかを知らない。グーグルは、このコンシューマーの分野での最高の経験に、企業で必須となるセキュリティーの機能を付加し、最適化を行い、技術的なサポートも行ないます。ビジネスの世界でパートナーに成功をもたらすためにです。



コンプライアンスに関しても有効な選択肢を


──エンタープライズサーチによって、社内のリソースにアクセスしやすくなるのは大変便利なことです。しかし、社内でも特定の部署、あるいは役職者だけにしか、公開したくないデータはあると思うのですが。

Gough  Google 検索アプライアンスは、セキュリティーに関するAPIを持っており、既存のセキュリティーシステムとの統合が行なえます。例えば、Active Directoryやシングルサインオンの仕組みと組み合わせて、コンテンツごとに公開/非公開の設定を入れることも可能です。

 アクセス権限は、グループレベルまたは個人レベルで設定できます。また、Google 検索アプライアンスは、権限に関する情報をキャッシュせずにリアルタイムにチェックするため、例えば、社員が退社したら、その時点で検索結果にアクセスできなくなるといった対応もできます。


──コンプライアンスの面でも有効に働くということでしょうか。

Gough Google Appsに関しては、ドキュメントに対して、どのユーザーがアクセスして、編集を加えたかという情報が残るようになっています。自分のグループであれば誰でもアクセスできるようにするとか、閲覧の権限を特定の人だけに絞るとか、特定の人だけに編集の権限を与えるとか、あるいは管理者の許可が必要になりますが、ドキュメントを社外の人に公開するといったことも可能です。

 マイクロソフトのWordのファイルは誰でも、Eメールで外部に送信できてしまいます。しかし、Google Appsのようなソフトを利用すれば、管理者は、誰が、いつ誰とどのドキュメントをシェアしたかが正確に把握することが可能になります。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン