1200万画素級の撮像素子を搭載するコンパクトデジタルカメラが相次いで発売されるなか、松下電器産業(株)が投入するのが“LUMIX FXシリーズ”の最上位モデルとなる『DMC-FX100』である。
大型CCDを生かした望遠、高感度化の機能を備える
コンパクトなボディーは、従来機の『DMC-FX30』(関連記事)とほぼ同じ、横長デザインの箱型形状を継承する。沈胴レンズやシャッターボタン周囲のズームリング、背面のモードダイヤルなど、基本的なパーツ配置も同様である。レンズの仕様は焦点距離がf=28~100mm相当(35mmフィルムカメラ換算時)、絞り値 F2.8~5.6の光学3.6倍ズーム。数値はFX30や2006年発売の『DMC-FX50』(関連記事)と同様だが、撮像素子がFX30/50の“1/2.5インチ”サイズのCCDに対して、FX100では“1/1.72インチ”へと大型化しているため、レンズ自体も異なるものになっている。
操作系は、背面にある十字配列の5ボタンと、モードダイヤルという従来機を継承したもの。カーソル中央にある“MENU/SET”ボタンで表示されるメニュー画面で各種設定を行なう。また、“FUNC”ボタンを長押しすると表示されるメニューバーから、記録画素数や感度、ホワイトバランスといった撮影時の設定を行なえる“クイック設定”機能も持つ。これらの操作系は最近のLUMIXシリーズと共通だ。
撮像素子の大型化にともない、FX30と比べると横幅や高さ、厚みがそれぞれ2mm程度大きくなっている。しかし、FX50に比べれば横幅や奥行きで1mm、高さで3mmほど小さく収まっている。これはFX50が3インチ液晶ディスプレーを搭載するのに対して、FX100はFX30と同じ2.5インチ液晶ディスプレーを用いているためだ。
撮像素子の高画素化に加えて、細かな機能向上が施されているのも大きなポイントだ。LUMIXシリーズでは従来から、撮像素子の中央を切り出す方式のデジタルズーム“EX光学ズーム”を搭載し、最大記録画素数よりも小さな記録サイズであれば、画面のトリミングによって画質劣化なしに、レンズ自体のズーム機能を超える望遠撮影ができることをセールスポイントとしていた。FX30では5.3倍、FX50では5.5倍だったEX光学ズームは、FX100では7倍となった(記録画素数は300万画素モード、解像度2048×1536ドット)。この機能だけなら他社の高画素コンパクト機と大差ないが、FX100では専用ズームボタン“イージーズームボタン”を備えるのが特徴となっている。
本体上面のシャッターボタン右にある“E.ZOOM”と書かれたボタンを押すと、ワンプッシュで最大望遠の3.6倍ズーム状態になり、もう一度押せば記録画素数が300万画素に変更されて、EX光学ズームの7倍ズーム状態となる。さらにもう一度押せば、画素補間式の4倍ズーム、もう一度押せば最広角まで戻るというしくみになっている。画素切り出し型のデジタルズームを搭載するカメラは多いが、その度にメニューなどから記録画素数を変更するのでは使いにくい。その点FX100はワンタッチで望遠にできるので、デジタルズームを使う望遠撮影を多用する人には便利だろう。
また、新たな機能としてISO感度1600~6400相当という高感度モードや、毎秒8コマという高速連写機能が追加された。ただし、高感度モードは画素混合により実現されているものなので、記録画素数は300万画素以下になる。画素フルサイズでの最高感度はISO 1600相当。また、高速連写時も200万画素で動作する。フルサイズ時の連写は毎秒2コマとなる。
そのほかにも、光学式手ぶれ補正や高感度撮影によるブレ防止、動き検出による自動シャッター速度アップといった、3つのぶれ防止を備える。また、モードダイアルで選択することで選択する“インテリジェントISO感度モード”では、被写体の動きや周囲の明るさを元に、被写体のぶれを軽減するのに必要な最低限のISO感度アップを動的に行なうことで、ぶれとノイズ増加を同時に抑えることができる。