広角の快適さは何物にも変えがたい魅力
手にとってみると、思いのほかコンパクトな印象を受ける。すでに発売されている1200万画素機のソニー(株)『Cyber-shot DSC-W200』やカシオ計算機(株)『EXILIM EX-Z1200』に比べると、横幅は3~5mmほど大きいのだが、高さが2~3mm低くなっているため、一回り小さく感じる。ボディーの容積面ではEX-Z1200と同程度で、W200が10%ほど大きい。
スライド式の電源スイッチを操作すると、軽快にレンズが伸張して撮影可能となる。実際に使ってみると分かるのだが、LUMIXシリーズのモードダイヤルは今まで、回転が硬すぎて回しづらかったり、柔らかくて不用意に回ってしまったりした。しかし、本機ではスムーズに回りつつも、不意に回ってしまうことのない適度にクリック感のあるものとなった。ボタン類も押し応えのある感触で、スペックには出ない部分も細かく改善しているようだ。
実際に撮影してみると、広角28mmという広い画角は、風景や街撮り、スナップなどでの使い勝手がいい。さすがにレンズ周辺部では、像がやや歪んで描写も甘くなるが、大きな画像の劣化や色ずれ、エッジの着色などは見られない。ハイコントラストなシーンでは白とびしやすいなど、階調表現が浅い印象を受けるものの、コンパクト機としてはまずまず良好と言えるだろう。
コンパクトデジタルカメラの高画素化の流れは止まらないが、一昔前のような“高画素=高画質”という安易な認識が減ってきたのは確かだろう。そんな状況下に相次いで発売される1200万画素コンパクト機は、最大画素数での解像感よりも、デジタルズームなどのにように、撮像素子で得た画像の一部をトリミングするような使い方でも十分満足のいく画質の画像が得られることを、大きくアピールしているように見受けられる。
その点を考えれば、FX100が搭載するイージーズームボタンは、デジタルズーム(トリミング撮影)を併用することを前提した使い方を提案するもので、単に高画素化しただけでなく、高画素を生かした新しいデジタルカメラのあり方を模索していると言えるだろう。手ぶれ補正付きコンパクト機に広角レンズの使い勝手の高さを、従来のFXシリーズから継承しつつ、高画素化に加えて高速連写など、細かく機能を向上させている点は高く評価したい。
LUMIX DMC-FX100のスペック | |
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製品名 | DMC-FX100 |
撮像素子 | 1/1.72インチ 有効1220万画素CCD |
レンズ | 光学3.6倍ズーム、f=6~21.4mm(35mmフィルムカメラ換算時:28~100mm)、F2.8~5.6 |
静止画撮影 | 最大4000×3000ドット |
ISO感度 | オート、ISO 80/100/200/400/800/1250/1600(高感度モード時はISO 1600~6400)相当 |
動画撮影 | 最大1280×720ドット、15fps、QuickTime Motion JPEG形式 |
ディスプレー | 2.5インチTFT、約20万7000画素 |
記録メディア | 内蔵 約27MBフラッシュメモリー&SDメモリーカード(SDHC対応)、MMC(静止画のみ) |
インターフェース | USB、AV出力 |
電源 | リチウムイオン充電池(DMW-BCC12) |
撮影可能枚数 | 約320枚(CIPA規格) |
本体サイズ | 96.7(W)×24.5(D)×54(H)mm |
重さ | 約148g(本体のみ)/約176g(装備重量) |