一般ユーザーに初公開のイベント“CREATIVE FREEDOM 自由×自在”
アドビ、“Adobe Creative Suite 3ファミリー”をキックオフ
2007年06月09日 19時45分更新
アドビ システムズ(株)は8日、同社のデザインおよび開発ツールのスイートである“Adobe Creative Suite 3ファミリー”の発表を記念したイベント“CREATIVE FREEDOM 自由×自在”を東京・品川の品川プリンスホテルで開催した。基調講演が行なわれたアクアスタジアム内ステラボールには、クリエイティブのメインストリームにいち早く触れようと、デザイナーやウェブ制作者、映像関係者など、多くのクリエイターが詰めかけた。
『Adobe Creative Suite 3』は、同社25年の歴史において、これまでにない製品数を同時に発表するもので、デザイン/ウェブ/映像といったあらゆるクリエイティブワークに大きな変革をもたらすものとして注目されている。同イベントは、今月下旬から7月中旬に提供が開始されるAdobe Creative Suite 3が初めて一般に公開されるもので、米国アドビ システムズ(Adobe Systems)社のバイスプレジデントのマイケル・ゴフ(Michael Gough)氏による基調講演、ならびにアドビ システムズ日本法人の各製品担当者によるセッションを行ない、製品の詳細や各製品間の連携、強化機能について紹介された。
デバイスの多様化、クリエイターの広がりに
同社史上最多の製品群で対応
基調講演の開催に先立ち、アドビ システムズ日本法人の代表取締役社長のギャレット・イルグ(Garrett Ilg)氏が登壇し、同社最大級の製品リリースに際して、その意気込みと同社の姿勢について語った。
「Adobe Creative Suite 3は、今年リリースされるソフトウェアにおいて、最も強力なローンチとなるだろうと思います。そして、アドビとマクロメディアのいいところを収めたのがこのCS3です。私たちはCS3をご提供することで、ユーザーのみなさまとの関係をより深めていきたいと考えています。人とアイディア、人と情報は革新していきます。そうした中でクリエイティビティーはみなさんにとってチャンスとなります。(そのチャンスを活かすために)アドビはみなさんをサポートさせていただきたいと考えています」
イルグ氏は、これほどの大きなリリースにも関わらず、今回来日できなかった米アドビ システムズのCEO(最高経営責任者)のブルース・チゼン(Bruce Chizen)氏のビデオメッセージを紹介した。続いて、こちらも急遽来日がかなわなくなった米アドビシステムズのCreative Suite製品担当バイスプレジデントのマーク・ヒルトン(Mark Hilton)氏に代って来日したマイケル・ゴフ氏が登壇し、パブリッシングの現状について解説し、その状況に投入されるCS3の概要について説明した。
ゴフ氏はパブリッシングのトレンドとして、作成/配信/再生の3つの側面から説明した。「アドビは電子書籍について今後も、ツールやワークフローに特化して提供していきます。タイム誌が2006年のパーソン・オブ・ザ・イヤーに一般の方を選びました。現在、3530万のブログがトラッキングされており、アグリゲーター(複数サイトの情報を一括管理・仲介するツール)の役割を果たしています。パブリッシングがクリエイティブプロからコンシューマーへと広まっているのです。クリエイティブツールはより使いやすいものが必要とされています。コンテンツの配信も変わってきており、どこでもいつでも配信できなければならなくなっています。再生には、複数のメディアが使われており、新しいデバイスにも対応できなければなりません。広告の重要性も高まってきており、アドビはより堅牢で強力なエクスペリエンスをメディアに提供していきたいと考えています」
引き続き、ゴフ氏はCS3の概要について語った。「CS3は2年におよぶ開発期間を費やしました。書かれたコードは8000万行以上にもおよびます。アドビ史上最大のリリースであり、13の製品、6つのスイート、9つのテクノロジーからなります」とし、テクノロジーの中から、携帯電話機向けのコンテンツ開発に役立つ開発ツール「Adobe Device Central CS3」を紹介した。そして、最新のハードウェア(Intel Mac)、最新のOS(Windows Vista)にも対応したことに言及した。
写真で見るCreative Suite 3を構成する
製品群の新機能たち
基調講演の後半ではCS3の各製品、機能の詳細について、米アドビ システムズのCreative Suiteグループプロダクトマネージャであるウィル・アイズレー氏が説明し、アドビ システムズ日本法人のプリントパブリッシング部フィールドマーケティングマネージャーの西山正一氏がデモンストレーションを行なった。
『Adobe Photoshop CS3 Extended』では、ビデオフレームを取り込むことで意外な効果が得られる。数枚のフレームを選んで色変化のない部分(この画面では道路の路面部分)だけを合成演算すると、あたかも車が消えてしまうような効果が得られた
Adobe Photoshop CS3 Extendedの3Dパース情報を保持したまま変形・編集する機能“Vanishing Point”(バニシングポイント)を使うことで、CDケースのように立体の複数のパースをもった画像に、2Dのイラスト画像を簡単に貼り込んだ編集ができるようになった
Adobe Photoshop CS3 ExtendedのVanishing Pointデータを書き出して、動画に特殊効果を付ける『Adobe AfterEffects CS3』に読み込むことで、自動的に3Dコンポジションを生成できる。つまり、1枚の写真からあたかも立体的な映像が作り出せるわけだ
Mac Pro対応に来場者も高い関心を寄せる
基調講演の終了後は3会場に分かれて、各分野ごとのセッションが展開された。“GO BEYOND PRODUCTS!”(新世代の製品に向かって)と掲げたウェブ セッションは、基調講演と同じ会場を埋め尽くすほどの大盛況となった。また、基調講演の会場に隣接したデモブースには、『Mac Pro』で動作するCS3のデモを前に来場者が熱心に質問を投げかけていた。
