(株)リコーの『Caplio(キャプリオ) GX100』は、有効1001万画素撮像素子(1/1.75インチCCD)を搭載し、35mmフィルムカメラ換算時でf=24mm相当からの3倍ズームという、広角に強いコンパクトデジタルカメラの高級機だ(関連記事)。同社の『Caplio GX8』(関連記事)の後継・上位モデルにあたり、高画素化、広角化、CCDシフト方式の光学式手ぶれ補正機能の搭載とともに、同社高級機『GR DIGITAL』(関連記事)からも各種の特徴を引き継いだ高級志向の製品となっている。
横長のボディーに沈胴式レンズ、薄型ながらもしっかり持ちやすいグリップを採用する点はGR DIGITALを継承している。特にグリップあたりのデザインはGR DIGITALそのもので、これは専用充電池(DB-60)もしくは単4電池×2本という同じ電池構成を採用していることも大きな要因だ。レンズ周囲のリングを取り外し、アダプターチューブを介してフードやコンバージョンレンズを装着できるのはGX8、GR DIGITALと同様だが、GX8ではリングがネジ込み式だったのに対し、本機ではGR DIGITALと同様にボタン式ロックによるワンタッチ着脱となっている。また、GR DIGITALやGX8ではレンズ前端に電動式の開閉シャッターが装備されていたが、本機ではレンズ径が大きいこともあってレンズ周囲のリングにはめ込む取り外し式レンズキャップとなった。もちろんレンズキャップをはめたままではレンズが伸長せず、キャップをはめたまま電源をONにすると背面の液晶ディスプレーに警告が表示される。
シャッターボタンの前側にはグリップに半ば埋め込まれた電子ダイヤル、背面には“ADJレバー”(左右+押し込みの3way入力が可能なダイヤル風レバー)を搭載する。メニューシステムもGX8、GR DIGITALを継承しており、メインメニューに加えてADJレバーに露出補正やISO感度、記録画素数、フォーカス、AEなどの設定項目を4つまで割り付けられる。割り当てた機能は、撮影時にはワンプッシュで項目を呼び出せ、レバーを左右に倒すことで項目内設定を変更できて便利だ(設定項目の選択は電子ダイヤルもしくはカーソルで行なう)。なお、これら撮影時のクイックメニュー呼び出しはGX8では“ADJボタン”という単体ボタン(呼び出した項目をカーソルボタンで選択する)、GR DIGITALでは“ADJダイヤル”という電子ダイヤル機能を持つものだったので、今回はそれらのいいとこ取りをした形だ。
操作性に関してはGR DIGITALからさらに細かい改良もある。本体上面左端に“Fn”(function)と呼ばれるボタンが追加された。ここにはADJレバーと同様に、露出補正などの項目を1つ登録できる。ADJレバーではまず4つから1つを選ぶという操作が必要となるが(もちろん登録数を減らしておく手もあるが)、Fnボタンなら“より瞬時に調整したい項目”“直感的に呼び出したい機能”を登録しておくと便利だ。また、モードダイヤルには“MY1/MY2”という2つのポジションも追加された。これはいわゆるカスタムセッティング登録で、ユーザーが登録した各種セッティングを呼び出せるのだが、シーンプログラムの中などでなくモードダイヤルで選べるのは手軽だ。
操作性以外も細かく改良されており、AF点はGX8が中央1点、GR DIGITALでは15点だったが、本機では17点へと増えている。面白いのは画面の矩形(アスペクト比、縦横比)を通常の4:3と銀塩フィルムに近い3:2が選べる(GR DIGITALと同様)ほか、新たに1:1という正方形サイズ(2736×2736ドット)を選べる点だろう。もちろんこれは、フルサイズの撮影画像(3648×2736ドット)の両側を省略しただけではあるが、後述の電子ビューファインダーを用いたウェストレベル撮影を行なうと、まるで二眼レフ機のような印象になる。
本機の大きな特徴が、取り外し式の電子ビューファインダー(EVF)『VF-1』だ。GX8では光学ファインダーを内蔵していたがGR DIGITALではファインダーを内蔵せず、代わりにホットシューに装着する光学ファインダーがオプションとして用意されていた。本機のEVFはホットシューに装着するもので、GR DIGITAL用外部ファインダーと似たような感じで利用できるのだが、光学式ではなく電子式なので前端をヒンジにして角度を付けられるミソだ。
EVFを装着して普通の光学ファインダーのようにそのまま構えることもできるし、上に向けて覗き込むことでウェストレベル撮影やローアングル撮影を行なうこともできる。本体のレンズ上にある内蔵フラッシュはEVFを装着した状態でも利用可能だが、EVFを上に向けると干渉してポップアップできなくなる
可倒式のEVFはデジタルカメラとして初モノではなく、旧ミノルタの『DiMAGE 7』『同 A1/A2』など一部の製品で標準搭載されており、ローアングル撮影でも極端に低い姿勢でカメラを構えずに済み、普段の撮影でも気軽にウェストレベル(腰だめ撮影)ができるため非常に使いやすい。バリアングル対応や上下に角度を付けられる液晶ディスプレーでも同等の機能を実現できるのだが、まぶたを密着させるファインダーなら画面の見え方が外光に左右されにくく、カメラ本体を安定して構えることもできる。GR DIGITALではレンジファインダーカメラに装着する外部ファインダーをイメージしたデザインとなっていたが、本機のEVFは銀塩カメラ用のアングルファインダー(90度上から覗き込むタイプのファインダー)的な印象を受ける代物だ。
このほか、GX8、GR DIGITALと同様にオプション類も豊富で、フードとアダプターチューブ、ワイドコンバージョンレンズのほか、リモートレリーズ(USB端子に接続)も利用可能だ。アナログ派だとホットシューにGR DIGITAL用光学ファインダー『GV-1』を付けたくなるかもしれないが、GV-1は21mmと28mm用のフレームだけなのが残念なところか。
