日本オラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズは、11月20日、小売業向けの専任組織「オラクル・リテイル・ジャパン」を立ち上げ、小売業向けアプリケーション群「Oracle Retail」を市場投入すると発表した。IT投資総額5000億円といわれる上位200社をメインターゲットに、小売業向けビジネスを本格化させる。
専任部隊の「オラクル・リテイル・ジャパン」を組織化
「日本市場へ向けて小売業ビジネスを始めるには今がまさに絶好のタイミング。日本は世界2位の小売市場だが、グローバリゼーション、支払い方法やニーズの多様化など、ダイナミックな市場の変化が起きている。高いテクノロジーを持った情報システムによって、小売業に競争優位性をもたらしたい」
会見冒頭、米オラクルの日本アプリケーション・ビジネス担当シニアバイスプレジデントであるディック・ウォルベン氏は、オラクルが日本の小売業向けビジネスへ参入する理由をこう説明した。日本の小売業を取り巻く環境の変化について、日本オラクルの常務執行役員エンタープライズアプリケーション営業統括本部長である桑原宏昭氏は、「業界構造の変化」「競合の激化」「社会構造・消費行動の変化」「行政施策・法制度の変化」の4つを指摘。「変化への対応としてITの活用が欠かせないことが共通の認識として広がっている」と話す。
こうした状況の中、日本オラクルは、国内市場に対して小売業向け基幹パッケージ「Oracle Retail」を投入するとともに、専任組織として「オラクル・リテイル・ジャパン」を立ち上げる。
オラクル・リテイル・ジャパンは当初25~30名体制で組織し、今後状況を見ながら順次拡大していく予定。新組織のトップには、長年、米国で小売業向けビジネスに取り組んできた米オラクルのメラニー・ローズ氏がシニアディレクターとして就任する。会見でローズ氏は、「日本の小売業に対して、グローバルのベストプラクティスを導入することができる。日本の小売をこれから変えていくことに期待して欲しい」と意気込みを語った。
値下げの最適化機能を持つ収支管理アプリケーションに強み
今回発表したOracle Retailは、オラクルがここ数年、相次ぐ買収によって得たさまざまな小売業向けアプリケーションを統合したもの。具体的には以下の6つのアプリケーションから構成される。
- 「Retail Profit Optimization」:収益管理アプリケーション
- 「Merchandising Planning」:商品計画アプリケーション
- 「Supply Chain Planning&Optimization」:サプライチェーン計画アプリケーション
- 「Merchandising Operation Management」:商品管理アプリケーション
- 「Supply Chan Excution」:サプライチェーン管理アプリケーション
- 「Integrated Store Operations」:店舗管理アプリケーション
Oracle Retailの中でも特徴的なのが、収支管理アプリケーションの「Retail Profit Optimization」という製品。同製品は、特許出願中だというマークダウン(値下げ)の最適化機能を持つのが特徴で、「いかタイミングよく値下げをし、在庫を圧縮し、収益を確保するか」シミュレーション可能だという。
オラクルはこれらのアプリケーションと、既存製品であるCRM/BI/ERPなどのアプリケーションをFusion MiddlewareによってSOA連携させ、統合したソリューションとして利用できるようにする。日本オラクルの執行役員アプリケーションマーケティング本部長である藤本 寛氏は、「Oracle Retailは、グランドデザインできるスケールと、各分野で優れた技術と実績を持つ。また、オープンな技術を採用しているため段階的な導入が可能なことが強み」と強調。「これだけのソリューションをトータルでカバーできるのはオラクルだけ」と自信を示した。
なお、日本の小売業では、手組みのシステムを利用し、独自のノウハウに強みを持つ企業も多い。これに対しては、「日本の小売業も今後、グローバルを意識せざるを得ないだろう。Oracle Retailはグローバルのベストプラクティスを提供できるメリットと柔軟性も持ち合わせており、テーラーメイドで日本のニーズにも応えられる」(ローズ氏)と説明している。