トランプ大統領は、自らの投稿を売ることにしたようだ。
2026年7月16日のロイターの報道によれば、トランプ大統領が創業したSNS、トゥルース・ソーシャルが8月1日から、金融機関やトレーディング会社を主な顧客として大統領の投稿を優先的に配信するAPIを有料で提供する。18日のロイターの続報によれば、その価格は月額10万ドル(約1620万円)だという。
トランプ大統領は、重要な決定をSNSへの投稿で発表するスタイルで知られている。イランやベネズエラに対する軍事攻撃の開始や、中国に対する関税の大幅な引き上げといった決定は、世界を揺るがすだけでなく、株や債券といった金融商品の価格の上昇や下落の引き金にもなる。このため、超高速で自動売買をする金融機関やトレーディング会社にとっては、大統領の投稿の内容をいち早く把握するのは、極めて重要だ。
日本円で約1620万円という価格は、トランプ大統領の発言が市場に与える影響の大きさを十分に認識したうえで、超強気な設定にしたのだろう。
人間が関与せず、高速で売り買いを判断
トゥルース・ソーシャルは、トランプ氏が2021年2月に設立した「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)」が運営母体で、SNSとしては翌2022年2月に運営が始まった。同社は2024年3月、米国のNASDAQ市場に上場している。トランプ氏が自らSNSを立ち上げたのは、支持者らをツイートで煽り、連邦議会の議事堂襲撃事件を招いたとして、旧ツイッターからアカウントを凍結されたことがきっかけだ。
TMTGが8月から有料で提供を始めるのは、トゥルースAPIというサービスだ。 API(Application Programming Interface)は、ソフトウェア同士がデータをやり取りするための「窓口」と表現されることが多い。通常、SNSの投稿を読むには、スマホやPCのブラウザでSNSを開き、人間が文字を読む。ここにAPIが入ると、トランプ大統領が新しい投稿を公開すると同時に、サービスの契約企業のアカウントには、自動的にデータが送信され、内容によって、金融商品を買ったり売ったりする注文が自動的に行われることになる。
人間が介在すると、数秒とか数分といった時間がかかるのだろうが、トランプ氏が大きな決定をした際には、そのタイムラグが大きな差になることもあるはずだ。こうしたタイムラグを埋めるのが、トゥルースAPIというサービスだと理解できる。
世界で最も強い影響力のあるアメリカ大統領の立場をフル活用し、ビジネスでも利益を得るトランプ氏の手法は当然、米国で批判の対象になる。こうした手法はAPIが初めてではない。トランプ氏が2期目の大統領に就任する直前の2025年1月、$TRUMPというミームコインを発行し、大統領の一族が運営を担当。大口保有者は大統領との夕食会に出席できるというサービスも提供した。このミームコインは、 発行直後に価格が大幅に上昇したものの、その後は暴落した。大統領の周辺は、ライセンス料で巨額の利益を得たとされる。APIと仮想通貨では分野が異なるものの、大統領という立場を利用したビジネスという点では同じだ。
プロンプター係に不正の疑い
トランプ氏の企業が新サービスを発表したのとほぼ同じタイミングで、トランプ大統領の部下が立場を利用し、「予測市場」で利益を得ていたとして、米商品先物取引委員会の調査を受けているというニュースも報じられている。
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