ラマスワミCEO登壇の「Snowflake World Tour Tokyo」Day2・基調講演レポート
現場・開発向けエージェントで業務スピードを「5~10倍」に ― Snowflakeの統合基盤で変革する日本企業の挑戦
2026年10月23日 08時30分更新
サイバーエージェント:AIリーディングカンパニーに向けたAI推進とSnowflake活用の歩み
続いて登壇したのは、AI時代のリーディングカンパニーを目指すサイバーエージェントだ。同社は、生成AI登場前からAI活用に着手しており、インターネット広告の成果を高めるべく、2016年に「AI Lab」を発足。ChatGPT登場後の2023年には、いち早く全社でのAI活用を宣言し、同時に従業員・事業へのAI導入を推進する「AIオペレーション室」を発足している。
同室は、ここまで段階的に推進施策を展開してきた。初年度(2023年)には、社員の“自分ごと化”を促すべく賞金総額1000万円の「生成AI徹底活用コンテスト」を開催。その上で、セキュリティやガバナンスの知識を底上げするため全社員向けのリスキリングも実施した。
各事業部で事例が生まれ始めると、その成果を共有し合う「AI Fes」を年1開催。直近では、事業価値に直結するAI活用を進めた事業部を可視化する「AI番付」といったユニークな施策も導入している。
実際にAIで大きな変革を遂げたのが、AIエージェントを本格導入した開発組織だ。2025年6月の支援開始から約1年で、4000名近くの開発者がエージェントを活用しており、一部の事業部では「開発量が約2倍」「監視業務が10倍高速化」「仕様書作成時間を70%削減」といった顕著な成果が上がっている。
こうした推進施策を担うAIオペレーション室は全社横断的な組織であり、プロダクトマネージャーやエンジニアからなる開発組織と、推進方針を決定する事業責任者によって構成されている。室長を務める上野千紘氏は、「サイバーエージェントでは中央集権的な強制を避けるカルチャーがあるため、あくまで各事業部の自由と自己責任を重視している」と語る。
このような方針のもとで推進される各事業部のAI活用を支えているのが、Snowflakeのデータ基盤だ。例えば、広告代理店部門では、広告配信媒体を管理する社内システムにおいて5年前からSnowflakeを採用。広告媒体に加え、経営管理や売上などの非構造化データを容易に追加・統合できる点がAI時代の今まさに活きており、Snowflake上の機械学習機能も活用が進んでいるという。
AIオペレーション室が社内のAI活用の“アクセル”を担う一方で、“ブレーキ”の役割を果たすのが「グループIT推進本部」だ。同組織は、法務・コンプライアンス部やCTO統括室などと連携し、セキュリティ対策やガバナンス対応など、全社員が安心してAI活用できる環境を整えている。
グループIT推進本部の取り組みとして紹介されたのが「全社MCP基盤」の構築だ。社内のあらゆるデータがSnowflakeに蓄積されているのを活かし、「Snowflake MCP」で社員の一人ひとりがAI経由で正しいデータに即時かつセキュアにアクセスできる仕組みを構築した。
この仕組みによって、普段利用する生成AIツールから社内情報へアクセスできるほか、有事の際にリアルタイムで社内状況を把握できる安否確認システムも内製開発した。各事業部でも高度な活用が進んでおり、化粧品事業を展開するシロクでは、店舗データをMCP化することで機械学習エージェントによる顧客の感情分析を実現しているという。
グループIT推進本部のマネージャーである鷹雄健氏は、「どれだけ高性能なAIモデルを利用しても、データが分散・サイロ化していては正しい情報にアクセスできない。AIに勘違いさせることのないよう、セマンティックな技術などを取り入れながら、データを綺麗な状態に保つことが欠かせない」と語った。
同社はAI時代のリーディングカンパニーを目指す中で、開発組織では2028年までに全開発プロセスの完全自動化を、人材育成ではビジネスリードエンジニアやAIXデザイナーといったAI時代の新しい職種を定義・育成していくことを掲げている。今後もあらゆる観点からAIを使いこなし、自ら変化し続けるための施策を展開し続けていく意向だ。
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