Mr.ウォーカー玉置泰紀が厳選! おすすめスポット/アイテムベスト5 第38回

【決定版・関東と甲信の秋を楽しむ花と植物ベスト5】今すぐ見に行きたい! 関東で体感するコキア・コスモス・ススキの絶景スポット

文●玉置泰紀(元角川アスキー総合研究所・エリアLOVEウォーカー総編集長、一般社団法人メタ観光推進機構理事)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

山梨県富士河口湖町大石公園 コキアの紅葉

 いまの季節にしか出逢えない、心奪われる「秋色絶景」といえば、自然が織りなす圧倒的な色彩の植物たちだ。富士の裾野や茨城の丘陵を鮮やかな真紅に染め上げるコキアのグラデーション。武蔵野の広大な大地に広がる可憐なコスモス。箱根の山肌を黄金色に輝かせるススキの原……。

 今回は、秋の訪れを五感で満喫できる関東エリアのベスト5をお届けする。私たちが目にするその美しい景色は、単なる偶然の産物ではない。悠久の時が作り出した「地形」の妙があり、軍事施設や水田から緑や公園へと生まれ変わらせた「歴史・インフラ」の営みがあり、人々の心に刻まれた「文化・記憶」という重層的なレイヤーが幾重にも重なり合っている。

 そんな多様な視点——いわば土地の物語を立体的に読み解く「メタ観光」のレンズを片手に、今週末の秋晴れの休日を最高に彩る極上のスポットへと、いざ出かけてみよう。

関東の秋色絶景を楽しむ3つのメタ観光ポイント

神奈川県の箱根名所仙石原ススキ草原 穂が金色に輝く秋の夕暮れ

地形と気候のレイヤー:海辺から高原・湖畔へと連なる「見頃のリレー」

 茨城の丘陵、武蔵野の国営公園、富士山麓の湖畔、そして箱根の高原へと続く関東の豊かなバリエーション。標高や気候の差が生み出す地理的レイヤーを意識することで、秋の深まりとともに移りゆく絶景のリレーをダイナミックに俯瞰できる。

色彩と表現のレイヤー:名前の由来やアート的記号がもたらす鑑賞の奥行き

 コスモス(秋桜)という名前に宿る季節の雅や、コキアの緑から赤、茶へと至る日々の日替わりグラデーション、ススキが銀から金へ変貌する瞬間。色彩の背後にある自然の理や文化的背景を知ることで、一期一会の景色がより鮮烈な体験へと昇華される。

歴史と営みのレイヤー——「人が守ってきた風景」の物語を歩く

 ススキの草原や、旧軍用地から緑化された広大な公園など、いま私たちが目にする美しい絶景の多くは、自然のままではない。地域の熱意や暮らしの営み(採草地や保全活動、歴史的転換)によって、大切に守り抜かれてきた。風景の向こう側にある「人の時間の厚み」を感じることが、メタ観光の最大の醍醐味である。

関東・甲信で見逃せない! 秋色絶景ベスト5

第5位:富士山の溶岩流が生んだ堰止湖を彩る、鮮やかな真紅のコキア

河口湖・大石公園 (山梨県富士河口湖町)

富士山とコキア、山梨県富士河口湖町の大石公園(河口湖畔)にて

 河口湖の北岸に位置する大石公園は、富士山の溶岩流が川をせき止めてできた堰止湖の特性を活かし、季節ごとにさまざまな花が咲きほこる絶景スポット。秋の訪れとともに、丸々としたフォルムが愛らしいコキアが鮮やかな真紅へと染まり、雄大な富士山と湖を背景にした息をのむような美しいコントラストを描き出す。全長350mの花街道を彩るラベンダーやコキアなど90種類以上の花々も見事。

【歴史・インフラ】 富士山の裾野に広がる火山灰土と湖畔の冷涼な気候のもと、地域住民の手によって四季折々の花街道として整備・継承されてきた、富士北麓を代表する景勝地である。

【メタ観光トリビア】 湖の北岸にあるため湖越しに富士山が真正面に見えるという地形の妙があり、国際的なSNSレイヤーが非常に強い。また、コキアの和名「ほうき草」の由来や、食用(とんぶり)としての側面を知ると、植物文化のレイヤーも重なって味わい深い。

【アクセス】 中央自動車道「河口湖IC」より約15分

【行きやすさ・歩きやすさ】 ★★★★☆  整備された遊歩道が続き、散策しやすい。ただし観光シーズンは駐車場が混み合うため、午前中の早めの時間帯の訪問がスムーズだ。

第4位:軍港の記憶から海風薫る花畑へ生まれ変わったコスモスの楽園

くりはま花の国 (神奈川県横須賀市)

オレンジ色のコスモス、横須賀市 くりはま花の国 Orange cosmos, Kurihama Hananokuni, Yokosuka City

 東京湾を望む豊かな自然に囲まれた「くりはま花の国」では、秋になると広大なコスモス園に約100万本のセンセーションなどの品種が咲き誇る。10月17日から11月29日まで開催されるコスモスまつりに合わせ、11月上旬から中旬にかけて見頃を迎える。

【歴史・インフラ】 ペリー上陸地として知られる久里浜にあり、戦後の米軍倉庫跡地などの敷地を返還後に市民の憩いの場として整備・活用してきた歴史を持つ、三浦半島を代表する大規模公園。

【メタ観光トリビア】 東京湾を行き交う船舶を遠望しながら、海風を感じて広大なコスモス畑を歩く開放的なロケーション。園内のレストランから眺める東京湾フェリーがペリー艦隊の黒船とほぼ同じ大きさであるというトリビアや、園内の「ゴジラのすべり台」など、歴史とポップカルチャーが交差するユニークなレイヤーを持つ。

【アクセス】 横浜横須賀道路「佐原IC」より約4km(久里浜駅から徒歩約15分)

【行きやすさ・歩きやすさ】 ★★★★☆  園内には舗装路が整備されているが、丘陵地にあるためアップダウンがある。歩きやすいスニーカーでの来園がおすすめだ。

第3位:20周年の丘を染めるコキアとキバナコスモスのじゅうたん

国営ひたち海浜公園 (茨城県ひたちなか市)

初秋の国営ひたち海浜公園 ― 色づき始めたコキアとキバナコスモス

ひたち海浜公園 みはらしの丘とキバナコスモス

 茨城の広大な空と海を背景に広がる国営ひたち海浜公園の「みはらしの丘」。みはらしの丘のコキア植栽20周年を迎える秋には、約4万本のコキアが緑から鮮やかな赤へと移り変わり、丘一面を深紅のじゅうたんで覆い尽くす。さらに、ふもとには約270万本のキバナコスモスも咲き誇る。今週末はまさにピークを迎え、翌週21日以降は赤と茶のグラデーションへと移り変わっていく。

【歴史・インフラ】 旧陸軍の水戸飛行場を経て戦後は米軍射撃場となった広大な敷地を、返還運動の末に国営公園として大規模な緑化・環境復元を進めてきた歴史的背景を持つ。長年かけて造成された人工の丘(みはらしの丘)は環境再生の象徴だ。

【メタ観光トリビア】 海抜約58mの丘の頂上から眺める太平洋と真っ赤なコキアのパノラマは圧巻。軍事から平和・緑へと生まれ変わった「再生の歴史」と、20周年を記念したキバナコスモスの新レイアウトが織りなす変遷のドラマも見逃せない。

【アクセス】 北関東自動車道〜常陸那珂有料道路「ひたち海浜公園IC」よりすぐ

【行きやすさ・歩きやすさ】 ★★★☆☆ 敷地内はよく整備されているが、みはらしの丘の登り下りは緩やかな傾斜がある。移動にはレンタルサイクルやシーサイドトレインの利用も便利だ。

第2位:立川基地跡地に広がる、都会のオアシスの秋色メモリー

国営昭和記念公園 (東京都立川市・昭島市)

昭和記念公園のコスモス

 東京ドーム約39個分という圧倒的な広さを誇る国営昭和記念公園。秋の園内では、原っぱ東花畑に咲く約20万本の「センセーション」をはじめとする一面のコスモス畑が広がり、初登場となる約10万本の赤ソバの花も鮮やかなコントラストを添える。

【歴史・インフラ】 在日米軍立川基地の返還跡地(立川ローム層や火山灰を母材として作られた黒ボク土壌が広がる武蔵野台地の一角)を利用して作られた国営公園。昭和天皇御在位50年記念事業として整備され、現在は広域避難場所としての防災インフラの役割も担っている。

【メタ観光トリビア】 大都会のなかに突如として広がる圧倒的なスケールの自然空間でありながら、サイクリングロードやレトロな園内電車が張り巡らされ、「都市型リゾート」としての完成度が高い。軍事から平和の象徴へと転換した歴史のレイヤーを深く感じさせる場所だ。

【アクセス】 中央自動車道「国立府中IC」より約8km

【行きやすさ・歩きやすさ】 ★★★★★ 園内は歩きやすく整備されている。広大なため、レンタサイクルを活用すると効率よく絶景スポットを回ることができる。

第1位:人の手で守り継がれてきた黄金色の海原

箱根・仙石原すすき草原 (神奈川県箱根町)

箱根 仙石原 秋のMiscanthus草原

 神奈川県の観光名所・箱根の台ヶ岳の北側斜面に広がる約18ha(東京ドーム約4個分)の「仙石原すすき草原」。『かながわの景勝50選』や『かながわの花の名所100選』にも選ばれており、10月中旬から下旬にかけて一面のすすきが黄金色のピークを迎える。

【歴史・インフラ】 火山灰土壌と湿地のため農業に向かず、もともとは茅葺屋根用の茅(ススキ)を育てる茅場として近隣へ出荷されていた。一時は放置されて雑木林化する危機があったが、1989年から毎年3月の山焼きが再開され、人々の手で大切に守り継がれてきた半自然の文化的景観である。

【メタ観光トリビア】 草原の中を約700mの一本道の遊歩道が伸びており、青空の下の銀色から黄金色への変化や、夕日を浴びて黄金の海原のように光り輝くドラマチックな光景が広がる。「自然のままではなく、人の暮らしと営みが育ててきた風景」というメタ観光の真髄を体感できる場所だ。

【アクセス】 東名高速「御殿場IC」より国道138号で約30分

【行きやすさ・歩きやすさ】 ★★★★☆ 遊歩道がしっかりと整備されているが、足元は土や砂利道のため歩きやすい靴での訪問がおすすめ。

編集後記

 秋の訪れを告げる儚い絶景に出会いたい。ススキやコキアのピークからコスモスへと続く季節のバトンタッチは、1年のうちでほんのわずかな期間だけの特別なものだ。だからこそ、タイムラインを流れる人々の目を引きつけ、「今すぐ見に行きたい」「保存しておきたい」と思わせる最強のフックになる。 地形が生んだ場所に、人の営みや文化の記憶が重なり、今この瞬間だけの色彩が乗る——それこそが秋色絶景の醍醐味だ。

 本格的な紅葉シーズンが始まる前のこの空白期間に、スマホのカメラと少しの好奇心を持って、関東の秋色絶景を旅してみてほしい。なお、ピーク時は大変な混雑や見頃の急激な変動が予想されるため、お出かけの際はリアルタイムの開花情報をチェックしつつ、朝の清々しい時間帯に足を運ぶことを強くおすすめする。 きっと、あなたのSNSフィードを鮮やかにジャックする最高の瞬間が、そこで待っているはずだ。

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

過去記事アーカイブ

2026年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
2025年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2024年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2020年
02月
05月
11月
12月
2019年
05月
2018年
03月
2016年
01月
09月
11月
2015年
11月