このページの本文へ

夕飯もマイクラもChatGPT頼み AIと暮らして4年、私は“のび太”になった?

2026年09月16日 12時30分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 4年前にChatGPTがリリースされてから、仕事はもちろん、家庭でも日常的に使うようになった。

 何か困ったことがあると、とりあえずChatGPTに相談する。そして、教えてもらった方法でDIY的になんとかする。英語で言うなら「フィックスする」に近い。

 なので最近、ChatGPTのことを心の中で“フィクサー”と呼んでいる。

 初期のころは知識も少なく、回答も甘かった。「まだまだこんなものか」と思うことも多かったが、最近は明らかに違う。

 いちばん変化を実感するのは、花壇だ。

西日の花壇もAIに相談する

 いま住んでいる家には西側に花壇がある。夏は日照も乾燥も厳しく、環境に合わない草花はすぐ弱ってしまう。

 1〜2年前にもChatGPTに相談していたが、当時は提案される植物の種類も少なく、こちらが好きな宿根草を伝えても回答はあまり変わらなかった。

 いまは違う。

 植物についての知識が増え、必要ならリサーチもできる。わが家の花壇に何が植わっていて、何が根付き、何が根付かなかったかも覚えている。

 最近、買ってきた苗をどこに植えればいいか相談すると、花壇の写真に直接「ここ」と書き込みながら配置を提案してきた。草丈や花色、周囲とのバランスまで考えられていて、納得したのでそのまま植えた。

 AIに言われるがまま自宅の花壇を作っていると考えると、少し人間として妙なものも感じる。

冷蔵庫の中身から夕飯まで

 料理にもよく使う。

 「ツナ、豆腐、小松菜、にんじん、コーンを使った五色丼のレシピを提案して。3人前で。子どもも食べやすい味に」

 そんなふうに頼んでいる。

 手元の食材、人数、子どもの好みやアレルギーまで含めて調整してもらえる。レシピサイトをいくつも見比べて、自分で材料や分量を組み替えていた作業を、まとめて頼んでいる感じだ。

 そのうち、家族の好みをもっと細かく教えて、日々の献立作りまで任せてしまおうかと思っている。

 自分の好みに合うミステリーや、見逃しているアニメやドラマを探してもらうこともある。好きだった作品をいくつか伝えると、かなりの確率で好みに合いそうなタイトルを挙げてくる。

 便利だが、うっかりするとAIにレコメンドされたものばかり選ぶ生活になりそうだ。

子どもと一緒に花巻を作っている私(スケッチをもとにAIが作成)

コンピューターを代わりに使ってもらう

 近年、特に変化を感じているのがコーディングツールのCodexだ。

 最初に性能に驚いたのは、子どものための算数アプリを作ったときだった。

 2桁の足し算と引き算で、繰り上がりや繰り下がりをアニメーションで理解できるようにした。画像生成AIでネコのキャラクターを作り、音楽生成AIでBGMもつけた。問題はランダムで出題される。

 最初はエラーも多かったが、修正を繰り返すうちに普通に使えるものになった。

 その後も資格試験の勉強用アプリや、子どもの絵を使ったゲームなどを作り、その出来に驚いた。

 最近は、さらに使い方が雑になってきた。もはや「開発」というより、「コンピューターで何かしたいから代わりにやってもらう」感覚だ。

 たとえばMacでごみ箱を空にできなくなったとき。原因を調べてもらうと、Microsoft Office更新時の削除済みファイルが残っていることがわかった。Officeを全部閉じてからやり直すと、一瞬で解決した。

 子どもがお古のMacで遊んでいるJava版マインクラフトも、ChatGPTとCodexに頼りっきりだ。

 fillコマンドの使い方、Modデータの入れ方、リソースパックの編集方法、散らかったディレクトリの整理まで……自分だけだったら100%できなかった。OpenAIさまさまだ。

「お父さんには無理」と言わなくなった

 最近は、子どもが描いたドラゴンをオリジナルのトレーディングカードにする手伝いもしてもらった。

 画像生成AIで子どもの描いたイラストを3D CG風に加工し、カードらしいデザインを付け、裏面も作る。さらにA4サイズの厚紙に印刷できるようPDFに割り付け、断ち切り線まで入れてもらった。

 できあがったカードを見せると、子どもは

 「うわ、カッコいい……」

 とニヤニヤしていた。

 気をよくして、「もっとカードを増やす」と新しいクリーチャーをどんどん描いている。

 以前だったら、「こういうの作って」と言われても、「いや〜〜お父さんにはちょっと無理かな……」で終わっていたかもしれない。

 いまは、とりあえずAIに聞いてみる。

 できるかどうかを判断するのは、そのあとだ。

私はのび太になっていないか

 一方で、AIに頼りきりになっていく生活には、若干気掛かりなところもある。

 この4年間で、AIは生活を地味ながら劇的に変えた。ロボットが家事を全部やってくれるわけではないが、「困ったことが起きたときの行動」が変わった。

 わからなければAIに聞く。

 できなければAIと一緒にやる。

 無理そうなことでも、とりあえず相談してみる。

 気づけば、“困りごと”をAIに伝えて解決してもらうことが当たり前になっている。

 まるでドラえもんに頼りきりの、のび太くんだ。

 ただ、ドラえもんはのび太を楽にするのではなく、その未来を変えるためにやって来た。

 では、いま使っているAIはどうだろう。

 AIに頼るようになって、私は以前よりできることが増えた。一方で、何かわからないことがあると、自分で考えるより先にChatGPTを開くようにもなった。

 AIは私の未来を変えてくれるのか。

 それとも、AIがないと生きていけない“のび太”を育てているだけなのか。

 これは杞憂かどうか、まずはChatGPTに聞いてみないといけない。

 

書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ。5歳児と9歳児の保護者、AI編集者。Xアカウント:@moritakujira

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

ピックアップ