「Interop Tokyo 2026」アスキー全力特集! 第43回
「Interop Tokyo 2026」マクニカの各ブースで、最新技術動向や注目プロダクトを聞いた
マクニカがInteropで見せた、技術商社としての多様性とソリューション提案力
2026年06月29日 11時00分更新
技術商社として、世界の先進的な半導体製品、IT/セキュリティソリューションをいち早く日本市場に紹介しているマクニカ。「Interop Tokyo 2026」でも、会場内のカテゴリに合わせて3カ所にブースを展開し、それぞれで最新動向を紹介していた。
今回はその中から、注目のプロダクトを取り上げてご紹介したい。
セキュリティ:AI時代に不可欠な“先手を打つサイバーセキュリティ”の提案
Wiz、Netskope、Cisco、NinjaOne、Abnormal AIなど、多数のセキュリティソリューションを展示したブースでは、AI時代に求められる新たなセキュリティコンセプトとして「先制防御(Preemptive Security)」というキーワードを紹介していた。
マクニカ ネットワークス カンパニーの岡元一成氏は、この先制防御の考え方は、これからの本格的なAI時代のセキュリティ対策に欠かせないものだと説明する。企業のビジネス成長のためにAIの積極活用が必要になる一方で、Claude MythosのようなフロンティアAIがサイバー攻撃にも悪用されるようになる、複雑な時代だ。
この先制防御を実現する具体的なソリューションとして、岡元氏は「CTEM(継続的脅威エクスポージャ管理)」「ゼロトラストネットワーク」「XDR/SecOps」の3カテゴリを挙げた。それぞれ、NISTサイバーセキュリティフレームワークの識別、防御、検知と対応に該当するという。
重要なポイントは、多くの企業が現在実施している「現行の対策」と「先制防御」とでは、考え方が大きく異なることだ。したがって、まずは考え方を転換していく必要がある。
「たとえば、現状でもUEMやMDM(IT資産管理ツール)を導入している企業は多いと思いますが、エージェントがインストールできないネットワーク機器やOT機器、クラウドサービスの設定ミス、認証基盤での過剰な権限付与といったものを見逃していれば、攻撃者の侵入に悪用されます。そうした漏れのない“あらゆる資産の管理”を実現するために、EAPやCNAPP、ISPMが必要になるのです」
なお、先制防御を実現するためのソリューションには多様なものがあり、顧客企業自身で不足しているものがどれかを考えるのが難しいケースもある。そこでマクニカでは、顧客に簡単なヒアリングを行い、現状を整理したうえで次に向けたアドバイスを行う“セミオーダー型”の提案を始めている。
ホワイトボックススイッチ:障害発生時の問い合わせ窓口を一本化、不安を解消
“ブラックボックスからホワイトボックスに”というポスターを掲示したブースでは、オープンネットワーキング製品の提案を行っていた。いわゆるホワイトボックススイッチである。
マクニカでは、複数ベンダーのホワイトボックススイッチ/ネットワークOS/光トランシーバーモジュールを取り扱っており、顧客企業はこれらを柔軟に組み合わせて利用できる。マクニカ フィネッセ カンパニーの渡邊隆宏氏は、「ボックス、OS、トランシーバーとも、ベースの価格がもともと従来製品より安いですし、用途に応じた組み合わせができるので、コストはかなり抑えられます」と説明する。
だが、ホワイトボックス製品を導入するうえで課題もある。障害発生時の問い合わせ窓口が、スイッチ/OS/トランシーバーの各ベンダーに分散してしまうことだ。ユーザー側で障害原因の切り分けができなければ、ベンダー間でたらい回しに遭うこともある。
ただし、マクニカはすべてのベンダーの一次代理店であり、ユーザー企業からの問い合わせ窓口をマクニカに一本化できるという。
「われわれのチームはBroadcom製品の取り扱い、サポートの経験者が多く、国内の大手OEMメーカーにチップを提供してきた経験から、障害切り分けのナレッジや技術を持っています。そのため、ホワイトボックススイッチが故障した際には、われわれが原因切り分けをして、適切なベンダーに問い合わせを行います。これは、ほかのSIerさんなどでは難しい対応だと思います」
同ブースには、800Gbps(QFSP)×64ポートのEdgecore Networks「AIS800-64D」と、CredoのZeroFlap光トランシーバーで構成されたスイッチが展示されていた。Edgecore Networks製のスイッチは、さくらインターネットのAIサービス向け大規模HPCクラスタにおいても採用されているという。
(左)マクニカ フィネッセ カンパニー 第3統括部 OpenNetworking事業推進部長補佐の渡邊隆宏氏 (右)AI/HPCクラスタ向けのEdgecore Networks「AIS800-64D」スイッチ
光トランシーバー:特殊用途向け製品も展示、今後は「CPO」での省電力化が鍵
隣のブースでは、Coherent(コヒレント)社が提供するさまざまな光トランシーバーモジュールが展示されていた。
Coherentは光トランシーバー市場の老舗メーカーであり、現在も業界を代表する企業である。ラインアップは1Gbpsから1.6Tbpsまで幅広く、今回の展示では1Gbpsから800Gbpsまでの光トランシーバーを紹介していた。マクニカ クラビス カンパニーの阿部野一郎氏は、市場の状況を次のように説明する。
「世界ではAI向けの大規模データセンターを中心に、800Gや1.6T光モジュールの需要が急速に高まっています。一方、日本では400Gに加え、100Gや10Gなど既存世代の製品を必要とするユーザーも多く、それらの製品も継続して供給しています」(阿部野氏)
こうした一般的な製品だけでなく、100kmを超える長距離伝送向けのデジタルコヒレント方式光モジュール(DCO)や、光スイッチ、光アンプ、光ファイバーの状態を監視するOTDRをプラガブルに小型化したモジュールなど、特殊用途向け製品も展示されていた。
通信速度のの高速化に伴い、消費電力の低減が大きな課題になっている。阿部野氏は、将来的に消費電力の大幅な削減が期待できる技術としてCPO(Co-Packaged Optics)が注目されており、Coherentでも関連技術の開発を進めていると話した。
HSMカード:1枚のカードを最大42個のパーティションに分割、高い費用対効果
セキュリティソリューションの一つとして、MARVELL製のHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)製品「LiquidSecurity® 2」を紹介するブースもあった。MARVELLのHSMは、AWS(Cloud HSM)やMicrosoft Azureでの導入実績があるという。
HSMはサーバー内で暗号処理を実行するための専用モジュールだ。HSMを搭載しないサーバーの場合、メインメモリ上に暗号鍵を保管したうえで暗号処理を実行する形となるため、ハードウェアへの攻撃が行われると暗号鍵が盗まれてしまうおそれがある。そこで、暗号鍵をHSMの内部に保管し、暗号処理もHSM内部で実行することで、暗号鍵を確実に守ることができる。HSMを分解しようとするとハードウェア的に破壊されるため、暗号鍵も取り出せなくなる。
LiquidSecurity® 2の特徴は、1枚のPCI Expressカードを最大42個のパーティション(独立した処理領域)に分割して使える点だ。マクニカ クラビス カンパニー 第1技術統括部 技術第5部長の安田優介氏は、「通信の暗号化、情報保存時の暗号化など、現在ではさまざまなサービスで暗号処理が必要になっていますが、LiquidSecurity® 2では各サービス用にHSMを用意する必要がないので、費用対効果が高い」と説明する。なお、同製品が保管できる暗号鍵は合計で最大100万個だ。
また、LiquidSecurity® 2は、近年注目が集まっているPQC(耐量子計算機暗号)アルゴリズムの暗号処理にも対応している。PQC処理に関する競合優位性としては、一部の処理をハードウェアで実行するため、処理性能が高い点だと話した。
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