アップルは日本時間6月9日より開催する開発者向けイベント「WWDC(世界開発者会議)」にて、グーグルのAIモデル「Gemini」をベースにした小型のAIを、iPhoneやMacといった手元の端末上で直接動かす機能をアピールする予定だという。米メディアThe Informationが5月28日に報じている。
同メディアがアップルの計画に詳しい関係者から得た話によると、アップルはiPhone、Apple Watch、Mac向けに独自開発してきたチップを武器に、AIの処理を端末側で行えることをアピールする予定だという。
アップルはグーグルとの提携の一環として、グーグルの大規模言語モデル「Gemini」を先生役として使い、そこから知識を引き継いだ小型版のAIをアップル製の端末上で動かせるよう開発しているとのこと。
さらにこの「AIモデルを小さくする技術」を加速させるために企業の買収も検討されており、その候補のひとつとして端末上でAIを動かすことに特化した米マサチューセッツ州のスタートアップLiquid AIの名前が挙がっているそうだ。
もっとも、すべてを端末内だけで処理できるわけではない。
複雑な処理にはクラウドが使われるが、その際アップルはグーグルのクラウド上でNVIDIAの「コンフィデンシャル・コンピューティング」という技術の利用を承認したとみられている。これは処理の最中もデータやAIモデルを暗号化して保護する仕組みで、処理速度はわずかに落ちるものの、より強固なプライバシー保護が得られるという。
この取り組みは、当初アップルが発表していた方針からの大きな転換でもある。
アップルは「Apple Intelligence」の発表当初、クラウドに送られる処理はすべてアップル自社の半導体で動く「Private Cloud Compute(プライベート・クラウド・コンピュート)」という独自基盤だけで扱うと説明していた。
グーグルのクラウドを利用するのであれば、大きな方針転換となる。とは言え、今回のかたちに変わっても、アップルは「Private Cloud Compute」というブランド名は引き続き使う見通しだという。つまり、名前のうえでは変化はないというわけだ。良いのかそれは。
ただし、端末内処理をどこまで推し進められるかには性能面の限界もあるようだ。グーグルのGeminiは規模が大きく、そのパラメーターは1兆を超えるとされる。The Informationによると、アップルはこのフルサイズのGeminiを、Macと同じアップル製チップを使った自社の「Private Cloud Compute」基盤で動かすのに苦戦しているという。
Apple Intelligenceは2024年のWWDCで初めて発表されたものの、初期機能への反応が今ひとつだったうえ、より個人に寄り添う新しいSiriの登場も大幅に遅れるなど、これまで順調とは言えなかった。今回のWWDC 2026で、アップルは流れを立て直し、遅れていた機能を改めて披露しつつ、新機能も発表するとみられている。
毎年お披露目のたびに期待を持たせてきたSiriの刷新だが、今度こそ「賢くなった」と実感できるのか。発表を待ちたいところだ。
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