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「Google Cloud Next '26」現地レポート 第2回

Google Cloud Next '26レポート、Geminiのエージェント基盤、第8世代TPU、Wiz買収の狙いなど

「すでに開発コードの4分の3はAI生成」 Google Cloud CEO、エージェント時代の戦略を語る

2026年05月07日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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Wizを巨額買収した狙いは「AIを悪用した攻撃にAIで対抗すること」

 サイバーセキュリティに関しては、まず「国家が支援する攻撃者がデータセンターを標的にしているのではないか」という懸念に対して、「新しいトレンドではない」としたうえで、Google Cloudにおけるデータセンター間ネットワークによる防御体制を紹介した。

 Google Cloudでは、世界中のすべてのデータセンターをGoogle自身が保有するネットワークで多重に接続し、ワークロードを別の拠点に複製/移動できる体制を整えている。単一の物理拠点に縛られないアーキテクチャを持つことで、たとえば「欧州や中東など、世界各地の紛争状況にも対応してきた実績がある」と、クリアン氏は説明する。

 次に、AIがサイバーセキュリティそのものを変えつつあるトレンドにも触れた。

 昨今、モデルのコードを理解する能力が大幅に向上しており、攻撃者がAIを悪用して未知の脆弱性(ゼロデイ脆弱性)を発見するのではないかという懸念が高まっている。これに対し、Google Cloudは「3層構造のセキュリティポートフォリオ」を構築しているという。

 第一層は「コードベースの分析と修復」だ。コードを分析するモデルに加えて、修復を支援する新モデル「Code Repair」をNextの翌週に正式発表する予定だと明かした。

 第二層は「脅威インテリジェンス」だ。今回のNextでは、ダークウェブの情報を活用して、防御すべき脅威の優先順位を付けるエージェントが発表されている。コードの脆弱性を修正しながら、攻撃者側でどんな攻撃が準備されているのかを示す。「精度は90%と、ほかのどんなソリューションをも大幅に上回る」とクリアン氏は胸を張る。

 第三層が、先に買収が完了したWizによるワークフロー全体の自動化だ。「Wizはクラウドからコードまで、スタック全体にわたって環境を理解するツールを提供する」と説明する(関連記事:Googleが巨額買収したセキュリティベンダーWiz、CEOが特徴や戦略を語る)

 今回のNextにおいて、Wizは“Red/Blue/Green”という3種類のセキュリティ対策エージェントを発表している。Redエージェントは、Geminiを使って自社システムへの攻撃テストを自動実行し、攻撃者よりも先に潜在する脆弱性を把握する。Blueエージェントは、脆弱性が判明した段階で必要な修復措置を提示する。そしてGreenエージェントは、修復作業を自動化する。

 Wizを買収した理由は“AIを用いた攻撃にAIで対抗する”ためだと、クリアン氏は説明する。

 「AIがコードやバイナリを理解できるならば、それは攻撃ベクターになる。対抗できる唯一のソリューションは、AIを使って防御することだ」「モデルが高度化するにつれて、脆弱性の発見から修復、脅威への対応も自動化しなければならないと、一貫して考えてきた。Wizを買収したのはそのためだ」

開発するコードの“4分の3”はAI生成、その品質を維持する作業もAIが支援

 Google Cloud自身のAI活用について、クリアン氏は開発者のコード生成を取り上げた。現在ではコードの75%、つまり“4分の3”がAI生成によるものになっているという。

 ただしクリアン氏は、75%という数字よりも大切なものがあると強調した。「重要なのは、AIが生成するコードの量ではなく質だ。しっかりとテストされ、レビューされているかどうかが重要だ」。そのため、Google Cloudではコードの生成だけでなく、脆弱性のスキャン、テストシナリオの自動生成、コードレビューの支援など、多岐にわたってAIを活用しているという。「コードをチェックインした際、人間のレビュアーと並行してモデルがレビューを行う仕組みも導入している」と語った。

 AIによる開発支援を背景として、製品発表のペースが上がっているが、その一方で「顧客の理解が追いつかない」という声も届いている。そこで、Google Cloudでは顧客への新技術導入/活用支援にも力を入れている。具体的な事例として、Virgin Voyages、Walmart、Relianceなどの企業を紹介した。

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