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CNAPP市場で注目、「有害な組み合わせ」によるリスク評価とは?

Googleが巨額買収したセキュリティベンダーWiz、CEOが特徴や戦略を語る

2025年06月04日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 Google Cloudが、320億ドル(約4.6兆円)という巨額買収での合意を発表したことで注目を集める、クラウドセキュリティプラットフォーム(CNAPP)ベンダーのWiz(ウィズ)。その日本法人であるWiz Cloud Japanが、2025年5月23日、同社プロダクトの特徴や事業戦略を記者向けに説明した。

 会見には、Wiz 社長兼CEOのダリ・ラジク氏、日本法人代表の山中直氏らが出席。Wizのセキュリティプラットフォームの概要や特徴的なアプローチ、日本市場におけるビジネス戦略などを説明した。

Wizが提供する統合セキュリティプラットフォームの概要

Wiz 社長兼CEOのダリ・ラジク氏(Dali Rajic氏、右から2人目)、Wiz Cloud Japan代表の山中直氏(左から2人目)、同社 ソリューションエンジニアリング部 シニアマネージャーの大井雄介氏(左端)、Wiz APACJ担当VPのドミトリ・チェン氏(Dmitri Chen氏、右端)

クラウド利用の急拡大、採用技術の高度化で生じるセキュリティギャップ

 2020年に設立されたWizは、クラウド上のアプリケーションからインフラまで、エンドトゥエンドのセキュリティをカバーする、マルチクラウド対応の統合プラットフォーム(CNAPP:Cloud Native Application Protection Platform)を提供するベンダーだ。今年3月には、Google CloudがWizとの買収合意を発表し、注目を集めた(買収完了は2026年中の予定)。

 CEOのラジク氏によると、Wizは立ち上げからわずか18カ月で1億ドルのARR(年間経常収益)を達成。現在の顧客企業は85カ国、およそ2800社に及ぶという。エンタープライズ(大手企業)にフォーカスしたビジネスを展開しており、「Fortune 100」企業の50%がWizの顧客だという。

ラジク氏

 なぜいま、Wizのような統合セキュリティプラットフォームが必要とされているのか。ラジク氏は、これまでのクラウドセキュリティが抱えていた“サイロ化”の課題を指摘し、Wizでは新たなアプローチを取っていることを説明する。

 ラジク氏はまず、あらゆる企業がクラウド利用を急速に拡大し、最新のクラウドネイティブ技術を採用し、クラウドアプリとその開発チームを増強している、と説明する。ただしその一方で、セキュリティチームのキャパシティ拡大はそうした動きに追いついておらず、大きな「ギャップ」が生まれている。このギャップのせいで「セキュリティリスクの見逃し」や「クラウド活用の停滞」が起こりかねない。

 「利用が急拡大するクラウドで生じるセキュリティ需要が、セキュリティチームの規模と能力を大きく上回ってしまっている。セキュリティチームは“現状維持”のための保守、統合作業に大きな時間を割かねばならず、新たな需要に対応する余地は少ない。これは日本だけの課題ではなく、世界的な課題だ」(ラジク氏)

クラウド利用の急拡大にセキュリティチームのキャパシティ増強が追いついておらず、“ギャップ”を生んでいる

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