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Mr.ウォーカー玉置泰紀が厳選! おすすめスポット/アイテムベスト5 第11回

【決定版・名著『怪談』はこれを読め!】“ばけばけロス”のあなたへ! Kindleで読み比べる小泉八雲『怪談』ベスト5

2026年05月29日 19時00分更新

文● 玉置泰紀(エリアLOVEウォーカー総編集長)

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小泉八雲旧居 小泉八雲像

 連日私たちの朝を彩ってくれたNHKの連続テレビ小説「ばけばけ」。没落士族の娘と、日本を愛する風変わりな外国人英語教師が共に歩み、二人で奇妙な物語を紡いでいく姿が大きな反響を呼んだ。彼らのモデルとなった小泉八雲と妻・セツの物語が完結を迎え、“ばけばけロス”に陥っている人も多いのではないだろうか。

 そんなファンにこそおすすめしたいのが、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が残した原点にして不朽の名作『怪談』の世界に改めて浸ること。小泉八雲は、ギリシャに生まれ欧米でジャーナリストとして活躍した後、1890年(明治23年)に来日。日本の自然や土着の信仰に深く魅了されて日本国籍を取得し、松江などで教鞭を執りながら数々の名作を遺した文豪だ。

 『怪談』は、1904年に『Kwaidan: Stories and Studies of Strange Things』として英米で出版された「英語」の文学作品。妻・セツから聞き集めた日本の民話や伝承を、ハーンが独自のフィルターで再構築し、西欧世界へと紹介した。原書に収録されているのは、以下の珠玉の物語とエッセイで、全部で20編からなる。

耳無芳一の話(The Story of Mimi-Nashi-Hōichi):盲目の琵琶法師が平家の怨霊に魅入られる、最も有名な怪異譚。

おしどり(Oshidori):雄のおしどりを殺した猟師の前に、雌が人間の姿で現れる哀話。

お貞の話(The Story of O-Tei):死の間際、生まれ変わりを約束した少女の純愛奇譚。

乳母ざくら(Ubazakura):命と引き換えに愛する姫を救った乳母と、その死後に咲く桜の伝説。

かけひき(Diplomacy):処刑される男の怨念を、機転を利かせた侍が回避する小話。

鏡と鐘(Of a Mirror and a Bell):鐘を鋳造するために鏡を渋々寄進した女の執念と、その鏡にまつわる怪異。

食人鬼(Jikininki):飢餓に苦しむ餓鬼道に堕ち、死体を食らう僧侶の悲惨な運命。

むじな(Mujina):のっぺらぼう(顔のない妖怪)に驚かされるユーモラスな恐怖。

ろくろ首(Rokuro-Kubi):首が抜け出て空を飛ぶ化け物たちと、元武士の僧侶の戦い。

葬られたる秘密(A Dead Secret):死んだ女の霊が、生前隠していた手紙を守るために現れる話。

雪女(Yuki-Onna):雪の夜に現れた美しい妖女と、命を助けられた男の悲しい結末。

青柳の話(The Story of Aoyagi):柳の精である美しい娘と若い武士の、儚くも美しい恋物語。

十六ざくら(Jiu-Roku-Zakura):命を賭して老桜を咲かせた侍の深い愛情を描く伝説。

安芸之介の夢(The Dream of Akinosuke):夢の中で小人国の王の娘と結婚し、人生を過ごす不思議な体験。

力ばか(Riki-Baka):力自慢だが知恵の足りない男が引き起こす、少し物悲しい出来事。

日まわり(Hi-Mawari):ハーン自身の少年時代の記憶と、ウェールズ地方の妖精伝説を重ねた回想。

蓬莱(Horai):蜃気楼のように現れる理想郷・蓬莱島について語るエッセイ的な掌編。

虫の研究(Insect-Studies / Butterflies, Mosquitoes, Ants):怪談ではなく、虫(蝶・蚊・蟻)にまつわる東洋の伝承や思索を綴ったエッセイ3編。

 単なるホラーではなく、日本的な自然への畏怖や魂の救済を描いたアニミズム文学として世界的に高い評価を得ています。元の言語が英語であるがゆえに「誰がどう翻訳したか」によって、その表情を劇的に変えるのも魅力です。

 なお、今回は優劣をつける「ランキング」ではありません。手元のデバイスで今すぐ没入できるKindle版『怪談』のなかから、翻訳のアプローチの違いを楽しむための5冊を厳選した。

八雲(左)と妻・セツ(右) Rihei Tomishige (1837-1922) - Lafcadio Hearn becomes Koizumi Yakumo in 1890s Japan Lafcadio Hearn and his wife Setsuko in Kumamoto. He preferred to hide his injured left eye in pictures. パブリックドメイン

怪談を深く楽しむ3ポイント

翻訳者による「怖さ」の質の変化を愉しむ

 同じ「雪女」や「耳なし芳一」でも、訳者が選ぶ言葉の温度やリズムによって、受ける印象は全く異なる。江戸時代の草紙のようなねっとりとした恐怖から、異邦人の冷徹な観察眼に基づく不気味さまで、翻訳の妙を味わうことができる。いくつか、読み比べると楽しい。

話題の新訳から0円の古典訳まで、Kindleならではの多様性

 物理的な書店では探しにくい多様な翻訳版も、電子書籍ならワンクリックで入手できる。手触りや装丁、フォントなどは紙の本が楽しいが、話題の現代語訳から、著作権切れにより無料で読める昭和初期のパブリックドメイン版まで、スマホ一つで多彩なアプローチに手軽にアクセスできるのが魅力だ。

文字だけでなく、漫画や映像作品で多角的に「怪異」を解釈する

 活字から立ち上がる想像の世界を楽しんだ後は、視覚的な表現との比較もおすすめ。コミック版でのキャラクターデザインの違いや、歴史的傑作と言われる映画版の映像美を知ることで、八雲の世界がより立体的かつ強烈に立ち上がってくる。

次ページ:実際に読んでみよう! Kindleで手に入る『怪談』翻訳5選
 

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