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半年以内の事業化に向けPoC中、データ事業売上「1.1兆円」を目指す

三菱電機×燈が“爆速”で挑むフィジカルAI 工場無人化に向けた“ラストピース”を埋める

2026年03月31日 10時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

提供: 三菱電機

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工場無人化の“ラストピース”となった燈の技術

 では具体的に、三菱電機と燈でどうフィジカルAIを推進していくのか。三菱電機の専務執行役 CDO、CIOである武田聡氏より、「無人化工場」に焦点を当て、現状の進捗が語られた。

三菱電機 専務執行役 CDO、CIO 武田聡氏

 三菱電機では、既に、フィジカルAIの実装フェーズに必要な3つの要素をすべて揃えているという。

 1つ目は、データ基盤である「Serendie®」だ。提供開始から約2年で、顧客・パートナーとの検証が進み、工場DXの実装段階に至った。このSerendie®を用いて、工場の機器に接続する膨大かつ高品質なデータをフル活用する。

 2つ目は、「工場の自動制御のための技術とノウハウ」だ。三菱電機は、多様な領域の制御機器を有しており、FA(ファクトリーオートメーション)やメカトロ制御の技術によって工場の最適化に取り組んできた。これにより、物理や現場の特性を踏まえた判断をAIに実装することができる。

 3つ目は、現場を止めないための「安全・セキュリティ」の仕組みだ。ここは最もノウハウが蓄積されている領域だといい、OTセキュリティのリーダー企業であるNozomi Networksの買収によってさらなる強化も図っている。

データ・制御・現場の力でフィジカルAIは実装フェーズに

 ここに、前述した燈のデジタルツインやAI実装の技術が加わる。実際の現場は、日々変化し続けている。だからこそ、デジタルツインの技術でAIを継続的に学習させ、それを現場に還元していく仕組みが不可欠となる。現場に蓄積されてきた暗黙知のAI化も、両社で取り組んでいく。

 そして、最終的に目指すのが、工場内の機器同士が協調しながら自律的に動く「自律分散制御」による工場無人化だという。現場の近くで処理を行うことでリアルタイム性を確保し、大量のデータをクラウドに送信する必要をなくすことで、コスト面でも大きなメリットを生む。

三菱電機が目指す「自律分散制御」

複数工場で進むPoC 遅くとも半年以内にはPoC完了・事業化へ

 こうしたフィジカルAIの確立に向けて、既に三菱電機の複数工場でPoCが進んでいる。そのひとつが「工場内物流のAIオーケストレーション」だ。

 工場内で自動化が立ち遅れる領域のひとつが、ライン間の物流だという。動的なライン間の調整は複雑で、現実の現場で最適化するには多くの時間を要する。そこで、自動搬送車(AMR)を含むフィジカル空間全体をサイバー空間上に再構築して、生産性を最大化するためのシミュレーションを実施した。

 シミュレーションに基づくAIによる最適化の結果、自動搬送車の稼働率は5割改善。燈との協業開始からわずか2か月で、これだけの成果につながった。現在は、現場のエッジサーバーで処理しているが、最終的には自動搬送車を含む現場の機器にAIを直接埋め込み、自律分散的に協調させることを目指している。

工場内物流のAIオーケストレーション

 他にも、工場内データの構造化や作業のふるまい学習といったPoCが進んでおり、漆間氏は、「遅くとも6か月でPoCを終えて、事業化を目指していく」と意気込む。事業化した暁には、まずは国内顧客に対して改善プロセスも含めた伴走支援を手掛けていく。

 さらに、工場だけではなく、ビルやエネルギー、インフラ領域などミッションクリティカルな現場でも同じように事業化を進めていき、最終的にはSerendie®関連事業を“1.1兆円規模”へと成長させていく意向だ。

Serendie®関連事業を“1.1兆円規模”に

 質疑応答において漆間氏は、制御機器のコモディティ化などが進む中で、「新たな競争力になり得るのがフィジカルAIだ」と語った。2026年の“フィジカルAI元年”を勝ち抜く鍵になるのは、スピードと暗黙知の活用であり、その実現に向けて三菱電機と燈の協業がもたらす価値はますます大きくなりそうだ。

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