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年次イベントで「Qira」、推論サーバー新モデルなどを発表、その狙い

LenovoのCTO・CIOに聞く「個人専用AIエージェント」「フィジカルAI」への挑戦

2026年01月28日 16時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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Lenovoの「ハイブリッドAI」戦略に欠かせない推論サーバー

 今回のLenovo Tech Worldでは、推論向けサーバー3機種も発表されている。

 企業におけるAI活用の浸透とともに、AI推論処理の増加が予想されているが、Lenovoのソリューションおよびサービスグループ(SSG)CIOを務めるアーサー・フー氏は、「生成AIの使用、特にビジネス成果に向けた価値の獲得においては、まだかなり初期段階にある」と指摘する。この初期段階だからこそ、企業は自社に適した推論環境を選択する必要がある、というのがLenovoの考えだ。

 推論サーバーの提供によって、Lenovoのようなハードウェアベンダーとハイパースケーラーの、AI市場における力関係はどう変化するのか。

 フー氏は、データ主権、データグラビティ、規制要件など、オンプレミスでの推論を必要とする理由は多岐にわたると説明しながら、「ハイパースケーラーとの関係が変わるとは思わない」と続けた。「われわれは皆、コンピューティング能力の提供者であり、トークンの提供者だ。われわれの推論サーバーは、単により多くの選択肢を提供するものだ」。競合ではなく、顧客にとっての選択肢を増やすという位置づけだ。

 Lenovoが推進する「ハイブリッドAI」戦略の核心は、クラウド、プライベートクラウド、オンプレミスの選択肢を顧客に提供することにある。「“ワンサイズ・フィット・オール”(1つのソリューションがすべてのニーズを満たす)ではない。すべてをサーバーラックに置く企業もなければ、すべてをパブリッククラウドに置く企業もない」(フー氏)。

 また、NVIDIAの最新世代チップが前世代比で10倍のエネルギー効率を実現することに触れ、「以前はデータセンターやクラウドのLLMでしか実行できなかったようなタスクが、エッジやクライアントデバイスでも可能になりつつある。実行コストが下がることで、新たな推論ニーズが生まれ続ける」と述べた。

 企業のAI活用を加速させるため、Lenovoは事前構築されたテンプレートやレシピを「AIライブラリ」として提供する。フー氏は、Lenovoが果たすべき役割を「顧客がより速く、より安全に、より信頼性高く進めるよう支援することだ」だと強調する。

次のトレンドは「フィジカルAI」、物理世界とのインタラクション

 CES 2026で顕著だったトレンドの一つが「フィジカルAI」だ。その背景には、これまで「テキスト(言語)ベースでの処理」を高度化させてきたAIモデルの成長が、すでに限界に達している現実がある。その結果、次の波として、テキストを超えたマルチモーダル(画像/動画/音声)処理ができるAIと、物理世界とのインタラクションが求められることになった。

 「飛行機はなぜ離陸するのか、船はなぜ浮くのか、F1カーのタイヤにブレーキをかけるとどうなるのか――。これらはすべて物理法則に支配されているが、現在のAIモデルはまだ、物理世界の働きを理解するようにはトレーニングされていない」(クルトオール氏)

 Lenovoは上海にロボティクス研究所を持っており、ビジョン(視覚)ベースの強化学習や、合成物理データベース使ったロボットのトレーニングなど、フィジカルAIの基盤技術に対する投資を続けているという。工場向けの検査ソリューションなど、特定の産業用途での早期展開も進めている。

 クルトオール氏は、フィジカルAIを「次の自然なトレーニンググラウンド」と位置づけ、「近い将来、非常に大きな影響を与えると信じている」と語った。

 最後に、CIOの役割についてフー氏に聞いてみた。

 フー氏は、AIの普及に伴って、CIOの役割が“デジタル人材のCHRO(最高人事責任者)”のようになりつつあると指摘する。「デジタルエージェントが業務を遂行するようになると、企業は組織図を描き直す必要が出てくる。30人や50人のスタートアップが、従来なら人的労働に頼っていた20倍の規模のビジネスをサポートできるようになる」。

 フー氏は「CIOは常にビジネスとテクノロジーの交差点に立ってきた」としながら、技術リーダーとビジネスリーダーの境界が曖昧になる中、「技術だけでも、ビジネスだけでもダメだ。両者の適切な融合が必要で、この傾向は今後加速する」と述べた。

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