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「触れていい」ロボットが前提に。介護ロボと義手が示した変化

CES2026で見えた“身体のアップデート”①

 CES 2026の会場で印象的だったのは、「どれだけ賢いか」よりも、「どれだけ人に近づけるか」を真剣に考えたロボットたちだ。とくに象徴的だったのが、介護と義手という“人の身体に直接触れる”前提のロボティクスである。

介護現場を想定した「触れていいヒューマノイド」

 介護向けヒューマノイドを展示していたのがFOURIERだ。同社のロボットは、見た目の親しみやすさだけでなく、触感や安全性に強くこだわっている。人と触れ合うことを前提に、自動車グレードの高級な張地と、環境負荷を抑えたフォームパッド(クッション材)を採用。硬質な“機械”というより、人の身体に近い感触を意識した設計だ。

 動作も極めてなめらかだ。体中に配置された圧力センサーによって接触を検知し、方向を認識できるマイクで周囲の状況を把握する。目の部分にはディスプレイが搭載され、表情の変化によって感情や意図を伝える。介護現場で重要なのは、正確さよりも安心感。その設計思想が随所ににじむ。

義手は「動く」から「感じる」段階へ

 もうひとつ、ロボティクスの進化を強く感じさせたのが、義手向けロボットハンドを開発するPsyonic。実は出展企業ではなかったのだが、ヒューマノイドロボットエリアで取材する機会を得た。

 Psyonicのロボットハンドは、さまざまな角度から力が加わっても壊れにくい強靱さを持ちながら、指先には繊細なセンサーを備える。神経の電気信号で操作できる点も特徴だ。興味深いのは、触った感覚を“完全再現”しようとするのではなく、腕に接触するモーターの振動としてフィードバックする割り切りの設計である。

 同社のロボットハンドは、産業用ロボットで知られるUniversal Robotsにも提供されているという。人の身体拡張としての義手と、産業用途のロボット。その両方をまたぐ技術になりつつある点が示唆的だ。

ロボットは「安全な他者」になる

 CES 2026のロボティクスで共通していたのは、「人と距離を取る」発想からの明確な転換だ。触れても危なくない素材、意図を察するセンサー、そして過剰に賢く見せないインターフェース。ロボットは万能な存在になるのではなく、“安全に共存できる他者”として設計され始めている。

神村優介

シェイプウィン株式会社 代表取締役。
山口県光市生まれ。徳山高専卒業。NHK高専ロボコン出場経験を生かしたロボット教育ビジネスで経済産業省後援のビジネスプランコンテスト中国地区大会で最優秀賞取得。株式会社セガトイズに入社し、家庭用プラネタリウムの商品をプロデュース・マーケティングし、年間15万個出荷の大ヒットを記録。その後、PR&デジタルマーケティングを支援するシェイプウィン株式会社を24歳で設立。国内企業ではChatWorkやスマレジ、TEMONAなどのスタートアップを担当。2022年からカナダ・バンクーバーに移住し、現地企業で世界14ヵ国250社以上のクライアントに日米市場向けPRマーケティング支援をしている。

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