10月11日に開幕した「アール・デコとモード」展も残すところ1か月になりました。今回は、本展の目玉の作品、モイーズ・キスリング(1891-1953)の油彩画《ファルコネッティ嬢》をご紹介します。展覧会の最初の部屋に展示されたこの大型作品は、アール・デコ真っ只中の1927年に描かれました。キスリングはポーランドのクラクフ生まれ、同地の美術アカデミーで学びました。1910年、19歳でパリに出て、エコール・ド・パリ(日本語で「パリ派」の意)の画家として活躍。アカデミーの師匠の友人であったナビ派の画家ピエール・ボナールにパリに出るように勧められ、アメデオ・モディリアーニやジョルジュ・ブラック、パブロ・ピカソなど、当時パリで活躍していた画家たちと交流しました。
キスリングは愁いを帯びた眼差しの女性の肖像を描いたことで知られます。この作品では、深紅のあでやかなドレスを身に着けた女性が、重厚な布張りの椅子に脚を組んでゆったりと腰かけています。彼女は黒髪のショートヘア。当時としてはかなり斬新な髪型です。この女性、ルネ・ファルコネッティはサイレンス時代の映画俳優で、「裁かるるジャンヌ」ほかの映画で主役を務めたスターでした。
展示室ではシャネルのイヴニング・ドレスの横に展示し、ドレスの形状がより理解しやすいようにしています。この時代、それ以前の時代には長かったスカートの丈が膝下のあたりまで短くなりました。脚が他人に見えるというのは、それ以前の西洋の服飾としては異例のことで、アール・デコの時代は女性の生活様式が大きく変化した時代でした。それは現代のわたしたちの時代に直結しています。
ホリデーシーズンのお出かけにぴったりの「アール・デコとモード」展は、1月25日で閉幕。ご来館はお早めに!
今回ご紹介したモイーズ・キスリング《ファルコネッティ嬢》のほかにも、画家タマラ・ド・レンピッカの《サンモリッツ》と当時のスキーウェアを並べた展示など、見どころは盛りだくさん。担当学芸員コラムも合わせてお楽しみください。
【担当学芸員コラム】https://mimt.jp/blog/official/18443/
会場で、20世紀初頭の素晴らしいドレスや絵画作品、宝飾品などを間近にご覧になってください。
アール・デコとモード
京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に
会期:2025年10月11日(土)~2026年1月25日(日)
開館時間:10:00~18:00
[1/2を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は20:00まで]
※入館は閉館の30分前まで
休館日:祝日・振替休日を除く月曜日、および12/31と1/1
ただし、トークフリーデーの12/29、会期最終週の1/19は開館
観覧料金:
一般2,300円
大学生・専門学校生1,300円
高校生1,000円
【キラキラコーデ割】会期中キラッと光るファッションアイテムを着用してご来館いただいた方は、当日料金が100円引きになります。チケット窓口でお申し出ください。
URL:https://mimt.jp/ex/artdeco2025/
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