『2025年度 AED功労賞・最優秀賞』を受賞。テラス(ストーリー)とハッコリーナ(COCOCHI UX)の共創支援による初受賞に創業メンバー塩田は歓喜の涙。
terasu
ストーリー×心地いい体験開発で社会課題の“伝わらない壁”を越えていく挑戦

授賞式後の写真
合同会社terasu(本社:東京都渋谷区、代表:秋山楓果)は、当社がストーリープランニングを担当したAED啓発プロジェクト「トイこころ」が、2025年度 AED功労賞・最優秀賞を受賞したことをお知らせいたします。AED功労賞は、AEDの普及・啓発や救命率向上に寄与した取り組みを表彰するものであり、最優秀賞はその中でも特に社会的インパクトの高い活動に贈られるものです。
最優秀賞を受賞したおもちゃAED『トイこころ』

2025年12月、日本AED財団が主催する「AED功労賞」において、おもちゃAED「トイこころ」が最優秀賞を受賞しました。この受賞は、プロダクトそのものの完成度だけでなく、「どのように社会に届き、どのように理解されていったのか」そのプロセス全体が評価された結果でもあります。開発者である坂野電機工業所の代表取締役社長である坂野恭介氏と共に、活動当初から携わってきたのがストーリーテラーカンパニーterasuです。
トイこころ公式HP
物語の始まりは受賞の4年前に遡ります
2020年12月にX(当時はTwitter)アカウントを開設。国語の成績「2」の何者でもないOLが、文章力を磨き、たった100日で2万フォロワー。この偉業を成し遂げたのが、後のストーリーテラーカンパニーterasu代表の「あっきゃん」こと秋山楓果(あきやま ふうか)。

たった100日で2万フォロワーとなった物語はCEメディアハウスより出版された『ストーリーで語る(秋山楓果著)』に収録
ストーリーテラーカンパニーterasu
「AEDの大切さを伝えたい」北海道北見市から届いた一つの想い
その活躍を見ていた坂野電機工業所の代表取締役社長である坂野恭介氏が、秋山に問い合わせをしてきたことから、この活動は始まりました。AED利用率の低い日本の現状を変えたい。そのためには「AEDの大切さを伝えなくてはいけない」と語る坂野氏の使命感に惹かれ、ストーリーテラーカンパニーとしての支援が始まりました。坂野氏と秋山の出会いから新たな物語が始まったのです。

左:坂野電機工業所 代表取締役社長 坂野恭介氏|右:terasu 代表 秋山楓果
反応の伸びない発信。UXリサーチで分かった「もう大切さは分かっている」「ただ使わないことも分かっている」という大人のリアルな声。
AEDに関する発信を支援が始まる中で、反応が伸びない壁にぶつかりました。添削しても、推敲しても、期待している結果が出ない。そこで現在terasu社内でCOCOCHI UX(心地いい体験開発)事業を展開するハッコリーナによるユーザーリサーチを実施しました。そこで分かってきたことは、
- AEDの大切さは分かっている
- ただ大人になると使わないことも知っている
- 忙しい中でわざわざAEDを学ぶ時間を優先することはできない
という声でした。この「もう分かっていることを言われる不快感」を発見したことから、坂野氏との物語は加速していくことになりました。

terasu社内のウェルビーイング事業部HACCOLINAでは心地いい体験の研究開発による知見を活かしたサービスを展開中
HACCOLINA公式HP
忙しい大人になってしまうと学べない。ならば「大人になるまでに自然とAEDを学べる認知システム」を生み出すストーリーを描くことを使命にしよう。
私たちが辿り着いたのは「大人になってしまうと学べない」という事実。ならば『大人になるまでに自然とAEDのことを学べるシステム』を生み出すことが大切なのではなかろうか。そこに辿り着いたときに、坂野氏との活動における使命は、AEDを伝えることから『次世代のAED認知サイクルを生み出す』という伝わる構造を生み出す物語に変わっていったのです。

Episode03.ミッション「次世代のAED認知サイクルを生み出す」決定|トイこころ購入者のパンフレットから抜粋
3~5歳のAED認知体験を生み出すために何が必要なのか。坂野氏が子供とおもちゃ屋に向かう中で閃いた「そうだ、おもちゃのAEDを作ろう!」
次世代のAED認知サイクルを生み出す。そのことを使命に活動する中で、坂野氏が息子とおもちゃ屋に訪れたとき「お医者さんごっこのように学べたら」「ごっこ遊びのセットにAEDはない」という発見から、おもちゃAEDの開発が始まりました。

Episode04.おもちゃAEDの開発
試作品のテスト投稿は瞬く間に拡散し、完成前からテレビ番組に出演。おもちゃAEDの未来を見据えて代表秋山が命名『トイこころ』。
坂野氏のXから投稿されたおもちゃAEDの試作品は拡散。各種メディアだけでなくテレビ番組『クイズ脳ベルSHOW』にも出演することとなる。そんな中、ストーリーテラーとしておもちゃAEDに更なるストーリーを込めよう。代表秋山は「命を守る大切さに触れるおもちゃ」「AEDは怖くないものである柔らかさ」を込めて『トイこころ』というネーミングをしたのでした。

当初は『AEDTOY』として企画していました
試作品投稿から1年9か月をかけて完成。継続的な広報活動を通して、たった7日で限定1,000個が完売。購入者への心地いいサプライズ体験を添えて。
おもちゃ素人の開発。どう作ればいいのか、おもちゃ業界へのヒアリング。断られ続ける小ロット開発。積み重なっていく開発予算…。試作品投稿から完成までの1年9か月は本当に色んなことがありました。赤字にするわけにはいかないと、販売戦略や各種コンテンツの制作、コミュニティ運営、SNS発信と総合的にコミュニケーション開発を支援させていただきました。その結果『たった7日で限定1,000完売』に繋がりました。

ただ完売するだけではいけない。1年9か月も待ってくれた方々への感謝を表現したい。心地いい体験開発として『限定1,000個だけのナンバリングパッケージ』をデザインしてサプライズで届けました。

そして、2025年12月3日(水)。2025年度日本AED財団AED功労賞にて、トイこころが『最優秀賞』を受賞。坂野氏と共に受賞舞台に登壇しました。
昨年11月の完売から約1年後。坂野氏と共に開発したおもちゃAED『トイこころ』は日本AED財団AED功労賞にて最優秀賞を頂くこととなりました。代表の秋山、ウェルビーイング事業部部長の加藤、そして事業開始から伴走してきた塩田の3名が共に壇上へと上がることとなりました。全員の手元には受賞したおもちゃAED『トイこころ』。塩田の目にはうっすらと涙が…。

プロジェクトの始まりから坂野さんと活動してきた塩田(画像の左に立つ男性)
その業界の人間ではない。だからこそ、役に立てることがある。私たちは『ストーリーテリングの技術』と『心地いい体験開発』を研究・探究・追求し続ける。そして、伝えたい想いを持つパートナーと情熱の心を灯し続ける。
今回のAED功労賞・最優秀賞の受賞を一つの通過点とし、terasuは次のフェーズへと進みます。terasuには、事業や社会課題を「伝わる構造」へと編み直す〈terasu事業部〉と、人の感覚や行動に寄り添い、「心地いい体験」そのものを設計する〈Haccolina事業部〉という、二つの専門領域があります。これまで両事業部は、それぞれの強みを活かしながら活動してきましたが、今後はこの二つをより強く融合させることで、物語として理解できること、心地いい体験として定着すること、日常の行動へと自然につながることを同時に満たす新しい体験価値の創造に取り組んでいきます。
『トイこころ』の取り組みは、ストーリー設計と心地いい体験設計が掛け合わさることで、「知る」から「使える」「語りたくなる」へと人の行動が変わっていくことを示しました。私たちは今後も『ストーリー × 心地いい体験』という二つのアプローチを融合させ、社会課題や事業価値が“自然に広がっていく構造”を生み出していきます。



























