サム・アルトマン氏「AIネイティブ社会の構築を」 ドバイGITEX。「フィジカルAI」としてのロボット展示
「GITEX GLOBAL 2025」レポート
2025年10月、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイワールドトレードセンターで開催されたテクノロジー展示会「GITEX GLOBAL 2025」は、6,800社を超える出展企業と180カ国からの参加者が一堂に会する中、人工知能(AI)関連にフォーカスしたイベントとなった。
とりわけ、OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるサム・アルトマン氏と、UAEのAI企業、G42グループのCEO、ペン・シャオ(Peng Xiao)氏による対談「AIネイティブ社会の設計」は、AIによる経済や社会の包括的変革を見据えたグローバルビジョンを示した。また、会場では、AI搭載のヒューマノイドロボットやスマートモビリティ、ヒューマノイド型などのロボットが至る所で展示され、注目を集めていた。
アルトマン氏とペン氏は、AI技術がもたらす社会構造の変革とグローバルなAI経済の構築に向けた国際的な連携について深く議論した。
アルトマン氏はまず、「AIはもはや単なるツールではなく、社会のあらゆる面を根本から再構築する基盤技術である」と強調した。彼は、倫理的かつ責任あるAIの開発を促進しつつ、各国が単独でAI技術に適応するのではなく、共創を通じて「AIネイティブ社会」を構築すべきだと述べた。
これに対し、ペン氏は「G42はUAEのビジョンに呼応し、AIを医療、エネルギー、都市インフラなど多様な分野に革新のドライバーとして展開している。国際的なパートナーシップこそが、持続可能で公正なAI経済を実現する鍵だ」と語った。彼は特に、「データ主権や規制の問題は単なる障害ではなく、AIの信頼性と安全性の基盤となるものであり、国際的な議論と協調が不可欠だ」と指摘した。
両氏はまた、AIの民主化と知識共有の重要性を強調した。
アルトマン氏は「私たちの使命は先進的なAI技術を世界中の開発者や企業に開放し、新産業の創出を促すことだ」と語り、ペン氏は「G42の役割は、地域の特性を生かしたAI応用を世界市場につなげる架け橋となることだ」と述べた。
中東と米国の議論を踏まえると、日本もまた、AIに関する主権を維持するため、優れたAIモデルをどのように有するかが重要となる。もちろん、単独開発に固執するのではなく、国際的な協調の中で統合する戦略も模索すべきだ。AIネイティブ社会を促進する中で、難しいかじ取りが求められる。
目立つAI搭載のヒューマノイドロボット
GITEX GLOBAL 2025では、全体を通じてUAEが推進するAIリーダーシップ戦略と、国際社会におけるAI技術の責任ある発展に向けた議論が活発になされていたが、展示会場では、AI搭載のヒューマノイドロボットやスマートモビリティ、AIを活用した医療技術、環境持続可能性を支えるグリーンテックなどが来場者の注目を集めた。
展示でも、AIが目立った。GITEX GLOBAL 2025の会場を歩くと、そこかしこで、ヒューマノイドや、四足歩行ロボット、スマートモビリティが来場者の眼前を行き交っていた。
会場のメイン通路の一角に、ヒューマノイドタイプのロボットが集中的に展示されていたコーナーは、ロボットコーナーではなく、「フィジカルAI」という表記が。形を持ったAIがロボットだという位置付けであり、物理的な身体を持つ人工知能(AI)としての「Embodied AI」という表現も多く見られた。
また、政治的な理由から米国や欧州の展示会では出展が少ない中国勢も数多く見受けられた。中国のGalbotの両腕型ロボットは、小売や製造から医療・製薬に至るまで、さまざまな業界・状況の仕分けを実演した。同社は今年北京で開催された第1回世界ヒューマノイドロボット競技大会で、金メダルを獲得した自律型ロボットの一つだ。中国・深圳を拠点とするLimX Dynamicsの二足歩行ロボットTRON1は、会場内を動き回っていた。
ドバイのロボット企業Mangobotは、生成AIを搭載したヒューマノイドや軍用グレードの犬型ロボットなどを展示した。主力製品であるA2ヒューマノイドは、インタラクティブなサービスに対応する。外科手術などの複雑なスキルを学習することができるという。
その他、警察や消防・救助などに最適化した自律行動できる犬型ロボットも多かった。AIが搭載され、自己の判断で出動し、任務を推敲するという。AI機能を持つスマートモビリティの警察車両から出動する犬型ロボットも展示されていた。
GITEX GLOBALの一環である世界最大級のスタートアップ・投資家向けイベント「Expand North Star」では、ピッチコンテスト「Supernova Challenge 2.0」を開催。ここでの優勝は、生成AIの安全性と信頼性の向上に取り組むスタートアップである韓国のAIM Intelligence。アンソロピックやメタなどのAI領域の有力企業と連携しており、フィジカルAI分野にも注力しているという。共同創業者のHaon Park氏は「受賞を機に、中東地域への進出を目指す」などと語った。
GITEX 2025はAIを軸に、デジタルトランスフォーメーションの未来像を提示するとともに、技術革新と倫理・規制の両立に向けた国際対話の重要性を印象づけるものとなった。



































