連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第212回
市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月29日~12月5日
AIエージェントの普及スピードは“生成AI超え”/2025年の残業時間、最多の職種は/ミドルシニア採用に注目、ほか
2025年12月08日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2025年11月29日~12月5日)は、急速に普及が進むAIエージェントの導入実態、金融業界を中心に導入が進む国内ペネトレーションテスト(ペンテスト)サービス市場、2025年の日本における残業時間の実態、40代後半~50代の「ミドルシニア採用」を行う企業の目的や課題、についてのデータを紹介します。
[AIエージェント] AIエージェント導入は生成AIを上回るスピード、「道具よりも同僚に近い存在」とする人が7割超(ボストン コンサルティング グループ、12月2日)
・企業の3割超が「すでにAIエージェントを導入」、4割超が「近く導入を計画」
・導入が進むスピードは、従来型AIや生成AIのそれを超える急速なもの
・先進導入企業では、今後の「業務体制の変化」「ガバナンス構造の変化」を予想
AIエージェントの普及に伴うビジネス影響を聞いたグローバル調査。116カ国/21業界の調査対象企業のうち、35%が「すでにAIエージェントを導入済み」、また44%が「近く導入を計画」と回答した。この普及スピードは、従来型AI(8年間で72%に到達)や生成AI(3年間で70%に到達)と比べて急速だという。先進的なAIエージェント導入企業では、従業員の95%が「仕事への満足度に良い影響」、また73%が「組織としての競争優位性が高まる」と回答したが、一方で66%が「今後業務体制に変化が生じる」、58%が「今後3年以内にガバナンス構造に変化が生じる」とも予測している。
⇒ 自律的に判断しながら複数工程の業務をこなすAIエージェントに対して、回答者の76%は「道具というよりも同僚に近い存在」だと認識しているとのこと。ボストンコンサルティンググループでは、AIエージェントの受け入れを成功させるポイントとして「既存のプロセスにAIを当てはめるのではなく、プロセスそのものを再構築する努力を惜しまない企業」とアドバイスしています。
[セキュリティ] ペネトレーションテストサービスの国内市場、2024年度は成長率3割以上 金融業界で利用が普及(アイ・ティ・アール、12月4日)
・ペネトレーションテストサービスの国内市場、2024年度は31.6%の成長
・金融庁がガイドラインで定期実施を推奨、金融業界が利用し市場成長をリード
・2025年度も21.7%増、2029年度までの年平均成長率は10.8%
2024年度のペネトレーションテスト(ペンテスト)サービス国内市場は、前年度比31.6%増の88億6000万円となった。主な成長要因としては、金融庁が2024年10月に公表した「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」において、ペネトレーションテストの定期的な実施を推奨したことがあり、官公庁や金融業界ではテスト実施がスタンダードになっているという。続く2025年度も21.7%増の成長が見込まれており、2024~2029年度の年平均成長率(CAGR)は10.8%と予測する。
⇒ ペネトレーションテストは、企業の依頼を受けたホワイトハッカーが、現実的な攻撃シナリオに基づいて疑似サイバー攻撃を行い、脆弱性の有無や攻撃が成功した際の影響度などを明らかにするもの。これまでは大企業が利用者の中心でしたが、汎用ツールを使う低コストのサービスも登場しており、中小規模の企業/組織にまで利用者が拡大しているそうです。

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