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Pale Blue、即時起動可能なホールスラスタ「PBH-100」など発表 小型衛星の高効率な運用を支援

 株式会社Pale Blueは11月18日に、小型衛星ミッションの多様なニーズに対応するため、推進機のラインナップに新たに2機種の展開を発表。高推力・高比推力を備えた小型ホールスラスタ(推進機)「PBH-100」と、低電力・高推力を実現したというレジストジェットスラスタ(推進機)「PBR-30」だ。

 小型ホールスラスタ「PBH-100」は、国立研究開発法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA)の複数の衛星ミッションで用いられた日本独自のマイクロ波カソード技術(※1)を採用することで、従来の小型衛星向けのカソード技術を用いたホールスラスタと比べて起動速度を短縮。高い推力と比推力を両立し、幅広いデルタV(※2)要求に対応可能とのこと。

 主に50kg~200kg級の小型衛星を対象とし、コンパクトなシステム設計。また、推進剤を充填した状態で出荷するため、射場での推進剤充填作業が不要。要望に応じて部品の配置や取り付け方等を変更し、多様な衛星に柔軟に対応するという。
(※1)マイクロ波カソード技術:JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」を通じて宇宙実証された電子源。マイクロ波放電によってプラズマを生成し電子ビームを出す。
(※2)デルタV:宇宙での移動において、目的地に行くまでに必要な速度の変化量。

 2Uレジストジェットスラスタ「PBR-30」は、軌道上実績のあるPale Blueのレジストジェットスラスタ技術を踏襲。主に30kg~50kg級の小型衛星を対象。低消費電力かつ高推力な推進機。投入電力を変更することで推力の調整が可能(最小投入電力10W、推力3mNから最大投入電力35W、推力12mN)で、素早い起動による高効率な運用が可能だという。

 また、2U(※3)サイズのコンパクトな一体型設計で、推進剤を充填した状態で出荷するため、射場での推進剤充填作業が不要。タンクの大きさ等をオーダーメイドで変更し、幅広いデルタV要求に対応が可能だという。
(※3)2U:1Uは3辺が10cmの立方体で、その2つ分程度の大きさ。

 同社によると、近年、小型衛星の実利用の本格化に伴って、衛星ミッション機器の作動時間を最大化したいとの需要が高まっているという。多くの場合、衛星ミッション機器と推進機を同時に作動させられないため、推進機の起動から作動終了までの時間を最小化することが、衛星運用の効率化に不可欠とのこと。「PBH-100」に搭載されたマイクロ波カソードは、従来の小型衛星向けホールスラスタの課題だった起動の遅さを解消し、瞬時かつ高効率な運用を可能にするという。同社では、高い信頼性を持つ日本独自のマイクロ波カソード技術を用いた推進機を小型衛星市場に提供することで、ミッションの成功率と運用効率の向上に貢献するとしている。

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