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ウイングアーク1stの“現実解”はすべてをつながないAI実装

最短10秒で誰もがダッシュボード作成 「MotionBoard」新版は生成AIにネイティブ対応

2025年10月20日 11時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 ウイングアーク1stは、生成AIを搭載したデータ活用プラットフォーム「MotionBoard」の新版を、2025年12月20日より提供開始すると発表した。

 生成AIとの対話を通じて、インタラクティブにダッシュボードや業務アプリケーションを生成する「AIウィジェット」機能を実装する。価格は6万円/10ユーザー(税別)からとなり、生成AI機能は設定された上限までは追加費用なしで利用可能だ。

 同社の取締役執行役員CTOである島澤甲氏は、AIウィジェット機能について、「60点から80点のデータ可視化が短時間で作れるのは、極めて大きな価値」と語る。

ウイングアーク1st 取締役執行役員CTO 島澤甲氏

最短10秒でダッシュボード生成、すべてをつながないAI適用の現実解

 MotionBoardは、データの可視化・分析に加え、業務アプリケーション開発やデータ活用までをカバーする多機能な国産BIツールだ。

 今回、満を持してリリースされるMotionBoardのAIネイティブ化。島澤氏は、2025年以降の生成AIのコーディング力の向上により、ロードマップを大幅に見直すことになったと振り返る。

 「これまでの生成AIは、人に読んでもらうためのデータ出力が主流であった。2025年に入り、プログラミングをダイナミックに生成AIに任せて、それを製品に取り込むというアプローチが具現化してきた」(島澤氏)

 こうした経緯で開発されたのが、BIツールの「データをどのように可視化するか」という悩みを解消する「AIウィジェット」機能だ。1画面あたり半日程度を要していたダッシュボード開発を、生成AIとの対話を通じて、最短10秒に短縮できるという。

 同社がこだわったのは、データ権限をMotionBoardで管理した上で、画面構築時にのみ生成AIを呼び出し、生成されたプログラムをデータ込みで制御する“すべてをAIでつながない”仕組みだ。データの変更時にもダッシュボードのデザインは維持され、画面表示するたびにAIを呼び出す必要がないため、コストも抑えられる。

 「同じデータ、同じプロンプトでも異なる結果が得られ、取捨選択できるのは生成AIのひとつの価値。一方で、毎回出力が異なっていては業務にならない。これは、データを扱う我々がAIと向き合う上で、重要なポイントになった」(島澤氏)

データ権限制御はMotionBoardが担い、画面構築時にのみAIを呼び指す仕様

 実際の利用方法は、まずは対象となるデータソースを選択する。後は、チャットで「データをどのように表示させたいか」を指示するだけ。生成AIに必要なデータが渡され、プログラムが動的に生成され、MotionBoard上でデータを突合しながら実行される。

 ダッシュボード生成後は、生成AIにチャートなどの修正を指示しながら、ブラッシュアップしていくという流れだ。「データの取得をAIに任せないのが我々の特徴。AIによるそれっぽいデータは“意思決定のミスリード”につながりかねない」と島澤氏。

AIウィジェットで生成されたダッシュボード

 リアルタイムデータのダッシュボード化にも対応し、BIツールにプリセットでないような特殊なデザインも、雰囲気で指示をしたり、パーツとなる画像を与えたりするだけで生成される。ダッシュボードだけではなく、入力フォームが含まれる画面を生成して、データと連動する業務アプケーションを作成してもらうことも可能だ。

島澤氏の自宅サーバーの消費電力量をリアルタイムで可視化

データと連携する業務アプリケーションも用意に作成

 同様に、データの分析も、生成AIに質問を投げかけるだけで実行できる。これまでのMotionBoardでも可能であったが、今回は構造化データだけではなく、テキストや図版などの非構造化データも組み合わせてインサイトを得ることが可能になった。

生成AI時代における「MotionBoard」の3つの優位点

 MotionBoardは、ウイングアーク1stがデータエンパワーメント事業として展開するデータ活用基盤の構成製品のひとつであり、その他にも、データ分析基盤「Dr.Sum」やデータマネジメント基盤「Dataring」を提供している。

ウイングアーク1stのデータ活用基盤

 その中でもMotionBoardは、20年以上の歴史を持つ老舗BIツールで、3900社以上の導入実績を有し、オペレーショナルBIツール市場の中でも国内トップシェアを誇るという。ウイングアーク1stの執行役員CMO事業戦略本部長である久我温紀氏は、MotionBoardの特徴を3つ挙げた。

ウイングアーク1st 執行役員CMO事業戦略本部長 久我温紀氏

 ひとつ目は、データ活用基盤における「統合ツール」としての役割だ。データの可視化・分析だけではなく、現場からデータを追加して、システム側に書き戻すこともでき、ローコード・ノーコードで業務アプリケーションを実装することも可能だ。今回、生成AIによるUX構築機能が加わったことで、誰もがデータ活用に着手しやすくなった。

 2つ目は、「高接続性」だ。従来のBIツールが対応する構造化データに加えて、現場で生まれる文書や動画・画像、機器データなどの非構造化データも統合する。新版では、非構造化データも対象とした業務に役立つインサイトを生成AIから得られるようになっている。

MotionBoardの位置づけ

 3つ目が、「コスト優位性」だ。パーペチュアルとサブスクリプション、双方のライセンス体系を用意し、組織規模に応じたコスト設計をサポートする。「我々の調査では、他製品と比べて50%以上のコスト競争力を有している」と久我氏。今回の生成AI機能も、一定のトークン数内は、追加費用なしで利用でき、「十分な数のダッシュボードの生成ができると試算している」(久我)という。

 久我氏は、「データ活用はなかなか成功が難しい領域。基盤の強化だけではなく、サポートやコミュニティなどあらゆる手段を用いて、企業を後押ししたい」と意気込みを語る。まずは、MotionBoardの新版を通じて、2026年度内に500社への導入を目指すという。

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