メルマガはこちらから

PAGE
TOP

まだ使える機械に後付けOK。コードに挟むだけのIoTセンサー

CEATEC 2025で見つけた工事いらずのIoTセンサー

電池交換も工事も不要。コードに挟むだけの「C3-lessセンサー」

 「照明をセンサー付きにしたいけど、まだ使えるのに全部交換するのはもったいないし、お金もかかる……。今あるやつにセンサーだけ付けられたらいいのに」──そんなニーズに応えてくれそうなIoTセンサーをCEATECで見つけた。東京高専・水戸研究室と泰興物産株式会社が共同開発した「C3-lessセンサー」だ。

 「C3-less」とは、非接触(Contact-less)、工事不要(Construction-less)、電池交換不要(exChange-less)の3つの“C-less”を意味し、外部電源や電池交換が不要で、工事なしで導入できる。

コードから漏れた磁束を回収して再利用

 展示されていたのは、点いたり消えたりしている電球。何の変哲もなさそうだが、束ねたコードに小さなクランプが挟まっている。このクランプが電気コードの周囲に漏れ出す微弱な磁束(電流が流れるとその周囲に生じる小さな磁界)を取り込み、電気に変換してセンサー側の蓄電装置に送り込む。そこで充電された電力が、無線送信に使われる仕組みだ。

束ねたコードにかませたクランプが磁束を吸い取る。右側の透明のケースがセンサー

 コードを束ねているのは、磁界をより効率よく取り込むため。理科の授業でやった「導線をぐるぐる巻いて電流を流すと磁界が発生する」というコイルの実験を思い出してもらうとわかりやすいだろう。

古い機械でも後付けOK

 展示では電球の点灯・消灯に合わせてセンサーが反応するデモを行っていたが、用途はもっと広い。古い工場設備にも後付けでき、稼働状況の監視などを簡単にIoT化できるのが強みだ。実際に、西松建設株式会社が展開する水中ポンプの監視システム「N2ewt」に採用され、トンネル工事現場での水没事故防止に活用されている。

 小さなクランプを挟むだけで、電池も工事も不要のIoTが実現する。高専の研究室と、IoTの量産を支援している立川のプラスチック会社・泰興物産ならではの発想。こうしたささやかな工夫こそ、意外と現場のDXやイノベーションの後押しになるのかもしれない。