ホログラム技術「WOWGRAM」を応用し、スマホの動画像を空中に表示するAR機器プロトタイプ発表
株式会社アーティエンス・ラボは10月10日に、メガネやゴーグルを必要としないホログラム技術「WOWGRAM Light Guide Type D」を応用し、スマートフォンに表示した動画像を空中に表示するAR機器のプロトタイプを開発したと発表した。同プロトタイプでは、既存のスマートフォンに表示した動画や画像を、透明な板を介して空中に浮かび上がらせるとのこと。現実世界と重ねて手軽に表示(AR)できるほか、目の焦点を調節しにくい人にとっては見やすい距離に表示できることから視力サポートとしての応用も期待できるとしている。また、同プロトタイプをCEATEC 2025で披露するとのこと。
「WOWGRAM Light Guide Type D」は、ガラスやアクリルなどの透明板の異なる位置に、2種の異なる機能を持つ独自開発ホログラフィック光学素子(HOE: Holographic Optical Element)を合体させ、1つ目のHOEの近くに配置したディスプレイに表示した映像を板内で全反射伝搬させ、2つ目のHOEから見られるようにしたものだという。ホログラムの機能によって、浮遊する位置から無限遠まで任意の奥行き位置に映像を表示でき、応用範囲は車載・家電インターフェース、遊技機演出、広告・宣伝、医療、教育、衛生分野など多岐にわたるとしている。
今回のプロトタイプでは、スマートフォンをディスプレイとして用いることで、透明板をのぞくとスマートフォンの画像が離れた位置に拡大して見えるという。目の焦点を調整しづらいという人にとっては、矯正メガネ不要で、焦点が合いやすい距離にスマートフォンの画面を表示させられるとしている。
また、ARメガネなどをかけずに手軽に現実世界と重ね合わせることができるため、リアルな対象物を観察する局面で、付加的にAR情報を得られるメリットがあるとしている。「主な応用分野として、視覚サポート・ヘルスケア(老眼・近視対策として)、現場でのAR活用(医療・工業デザイン、運転・操作時補助、美術館・博物館などの展示物説明)、エンターテインメント、天体観測(無限遠表示の可能性)が挙げられるという。
「WOWGRAM Light Guide」はアーティエンス・ラボが独自開発した導光板型ホログラムで、特許出願済とのこと。導光板型は、紙幣などに使われている反射型ホログラムとは異なり、外光の影響を受けずに良好な画質で表示できる利点があるそうだ。同社ではこの優位性に着目し、記録済の立体画像の静止画ホログラムを照明するType S(2021年発表)、動画像を表示できるType D(2024年発表)などを開発してきた。今回は、その技術を改良したプロトタイプを、新たな使い方の提案を含めて発表したという。



























