メルマガはこちらから

PAGE
TOP

VCやCVC、銀行、起業家などがCEATECに集結 ネクストジェネレーションパークが切り拓くCEATECの新しい挑戦

提供: 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

 2025年10月14日から17日にかけてデジタルイノベーション総合展「CEATEC 2025」が幕張メッセにて開催される。特に注目が集まるエリアのひとつが、次世代のイノベーションエコシステムの実現を目指す「ネクストジェネレーションパーク」だ。この企画は、国内外のスタートアップから、大学・研究機関、大企業の新規事業部門、そして支援者が一堂に会することが特長で、新たな価値創造を促進することを目的として展開される。

 今年のネクストジェネレーションパークは、ゼロイチからグロースまで事業創造に取り組む⼈と組織を支援する、事業創造カンパニーの株式会社ゼロワンブースターを共創パートナーの1社として迎え、新規事業の創出やスタートアップとの連携。オープンイノベーション、大企業のスピンアウトなど、多岐にわたるテーマを推進する。特に今回の企画では、既存の展示会の枠を超え、来場者が具体的な事業創出のプロセスや機会を発見できる場となることを目指している。

 ネクストジェネレーションパークのセッションなどの取り組みは、事業創造を手掛けるゼロワンブースターがサポート、プロデュースする。今回、 株式会社ゼロワンブースターキャピタル 取締役・パートナー 浜宮真輔氏、 株式会社ゼロワンブースター 事業創造ソリューション部 マネージャー 上田夏生氏、経営企画部 田中美妃氏、スタートアップエコシステムデザイン部 阿部英利子氏から話をききながら、CEATEC 2025を深掘りしていく。

参加者の幅が広がっていくネクストジェネレーションパーク

 ネクストジェネレーションパークは、過去数年間でその役割を大きく進化させてきた。3年前はスタートアップと大学・研究機関のみが出展するエリアだったが、徐々に大企業の新規事業部門の出展が増加。そして今年からは、協賛・スポンサー枠を新設し、インキュベーター、アクセラレーター、コンサル、政府、自治体、機関、銀行、VC(ベンチャーキャピタル)、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)などのスタートアップ支援者もこのエリアに集まる仕掛けが導入された。これについて浜宮氏は「CEATECに来場してこなかったVCやCVC、銀行、起業家などの関係者が足を運ぶ場所になる」と説明。

株式会社ゼロワンブースターキャピタル 取締役・パートナー 浜宮真輔氏

 さらに浜宮氏は「ゼロワンブースターは、ネクストジェネレーションパークの企画推進において、全体企画から会議のモデレーション、さらには来場誘致まで幅広く協力している」とし、ゼロワンブースターのミッションは「0から1を創造し、加速する」ことであり、事業の大型化やスケールアップを促進し「事業の力で世界を変える」ことを目指していると話す。今回の企画においても、学生へのアントレプレナーシップ教育、大企業からの事業創出、海外展開支援など、多角的なアプローチで事業創造を支援しているとのこと。

大企業の事業創出と学生ピッチ、未来を知れる2つの柱

 具体的に実施されるピッチプログラムは10月14日の「Nextアントレ2025 学生ピッチコンテスト」、15日の「Global Startup Pitch」、16日の「ネクストジェネレーションパークピッチコンテスト」、17日の「CEATEC 2025事業会社発 新規事業/スピンオフ ピッチコンテスト」の4つ。

株式会社ゼロワンブースター 事業創造ソリューション部 マネージャー 上田夏生氏

 なかでも核となるのは、「2つの主要なピッチコンテスト」と上田氏は指摘。ひとつは大企業からのスピンオフとスピンアウト事業に焦点を当てたピッチ、もうひとつは学生によるビジネスピッチだ。これらのピッチは、ネクストジェネレーションパークのステージで開催され、次世代を創る革新的なアイデアとビジョンが披露される。

大企業から生まれる新規事業を外に出し、成長させる動き

 さらに上田氏は、最近のスタートアップについて「日本国内ではこの3~4年で、大企業からのスピンオフ/スピンアウトが急速に増加している」と説明。これは、経済産業省が措置していた「出向起業補助金」が大きなきっかけとなり、多くの事業会社が前向きな動きを見せているためとのこと。

 そのためゼロワンブースターは、「スピンオフを支援する『SPINXプログラム』を2年間運営しており、これまで130名、約100社をサポートしてきた実績がある」と、浜宮氏は明かしている。さらにこのプログラムを通じて、「大企業内では売上規模が小さすぎると判断されてしまっても、外部に出れば上場可能なレベルの事業や、優れた技術やアセットを持った人材が多数存在することが明らかになっている」とも指摘。これらの事業や人材が、大企業内で埋もれることなく、日本の経済に貢献できるよう、外部化して育成する重要性が高まっている。

 経済産業省は、2024年4月に「起業家主導型カーブアウト実践のガイダンス」を公開しており、ゼロワンブースターの専門家がその検討に深く関わっている。このガイダンスは、カーブアウト(スピンオフ/スピンアウトを含む)を事業会社において具体的に進める上での資金面、知的財産面、人材面での課題解決やその実行に向けた事業会社のあるべき姿に焦点を当てており、その普及と理解促進が今回のピッチイベントの大きな狙いのひとつとなっている。

大企業の既存リソースを活かせる新規事業のスピンオフ

 浜宮氏は「スピンオフは、大企業に複数のメリットをもたらす。最もわかりやすいのは、出資した子会社が上場やM&Aを通じて得られるキャピタルゲイン」と話し、成長した事業を元の会社が買い戻す「スピンイン」という形で、事業を再び取り込むことも可能であることも指摘していた。

 さらに、大企業にいたからこその強みも存在する。例えば連携とサポート。スピンオフした企業は、元の大企業との連携によって、営業コストやマーケティングコストを抑制できる可能性がある。さらに経理や労務などのバックオフィス業務をゼロから構築する必要がなく、元会社のプロフェッショナルに相談できる環境も強い。多くの大企業が持つ海外拠点やネットワークを活用することで、スピンオフ企業はゼロから海外展開の足場を築くよりも有利に事業を進められる。海外での事業検討において、通常では接触が難しい現地の有力者への紹介を得るなど、大きなアドバンテージとなる事例も生まれているとのこと。

 これらのメリットは、大企業がスピンオフを単なる事業の切り離しではなく、長期的な視点での事業ポートフォリオ戦略や人材育成、そして新たなリターンを生み出す投資機会として捉えることを促す。CEATECの場を通じて、大企業の新規事業担当者に対し、スピンオフが自由度の高い「出口戦略」のひとつであることを提示し、その認知度を高めることを目指しているわけだ。

AI活用も推奨、学生の自由な発想が新産業を切り拓く

 日本におけるスタートアップの数は「過去10年間で増加傾向にあるものの、その伸びは一定のレベルで停滞している」と田中氏は指摘。この状況を打破するため、ネクストジェネレーションパークでは、大学発の起業に加え、中学生から大学院生までの幅広い学生を対象としたビジネスピッチイベント「Nextアントレ2025 学生ピッチコンテスト」を企画している。

株式会社ゼロワンブースター 経営企画部 田中美妃氏

 このピッチイベントの目的は、「単なるアイデア発表会に留まらず、日本経済に大きなインパクトを与える可能性のある『経済効果の大きいビジネス』に焦点を当てること」と田中氏は話している。さらに、学生にはAIを最大限に活用することを推奨し、ビジネスモデルの考案からプレゼンテーションの表現まで、AIをツールとして積極的に取り入れることを促しているという。登壇者は8月~9月に育成プログラム、採択者向けのメンタリングを経て、10月14日にステージに立つ。

 さらに学生ピッチは、来場する約8000人の学生、特に技術系の高校生や大学生にとって大きな刺激となる。「他の学生のピッチを見ることで、自分も挑戦したいという気持ちが芽生え、具体的な行動に繋がる可能性がある」と田中氏は指摘。また、社会人にとっても、学生の自由な発想やチャレンジ精神に触れることで、既存事業の変革や自身の起業への意欲が喚起されることが期待される。

 文部科学省が認定するスーパーサイエンスハイスクールに所属するような、表舞台に出る機会が少ない優秀な技術系学生の才能を発掘し、彼らが社会で活躍できる道筋を作ることも重要な狙いである。NEDOなど国の支援プログラムと連携することで、技術を持つ学生がディープテック系の起業家としてチャレンジする動きを後押しする。

株式会社ゼロワンブースター スタートアップエコシステムデザイン部 阿部英利子氏

 阿部氏は現在の応募学生の多くは大学生であり「すでに経済規模を意識した事業プランを提出している者が多い」と状況を説明。さらに、事業メンタリングやピッチの練習をするブートキャンプに地方からでも参加するほど意識が高い若者が増えつつあるという。今後は、ピッチの質を高めるためのメンタリングを強化し、学生が事業会社と具体的な事業化に繋がるような機会を創出していく方針をとっており、この取り組みを継続することで、「日本から世界に羽ばたく学生起業家が生まれることを目指している」と話していた。

Nextアントレ2025のブートキャンプの様子
長崎大学経済学部2年((左)高比良 廉氏、(右)筒井 真太朗氏)

VC、大企業、学生が交わる、共創の出会いの場へ

 ネクストジェネレーションパークは、従来のCEATEC来場者に加えて、VC、CVC、銀行の投資家、そして起業を志す一般のビジネスパーソンなど、新たな来場者層の呼び込みを目指している。そのためエリアを訪れる人々には、会場で「何ができるか」だけでなく、「どうすればできるか」という具体的なプロセスやステップを知る場にもなる。

 さらに、浜宮氏は「ピッチイベント後には交流スペースを設け、登壇者と来場者が直接対話できる場を提供する」としている。これにより、「モヤモヤを抱える人々が相談できる機会を創出し、新たな繋がりが生まれることを期待している」とのこと。

 今回は日本人向けのピッチに加えて、CEATEC 2025に出展する海外スタートアップ企業に限定した「CEATEC 2025海外スタートアップピッチ&交流会」も開催する。これにより、日本だけに留まらず、世界のスタートアップとのつながりを作ることも可能というわけだ。

 CEATEC 2025のネクストジェネレーションパークは、これらの取り組みを通じて、日本経済の新たな成長エンジンとなるスタートアップの創出と大企業との連携を加速させ、未来のイノベーションエコシステムを構築することを目指して動き出している。

Nextアントレ2025 学生ピッチコンテスト
開催日:2025年10月14日(火) 15:30-17:30
詳細・申込URL:https://www.nextentre.com/

Global Startup Pitch
開催日:2025年10月15日(水) 11:45-13:15
詳細・申込URL:https://01booster.com/event/4093/

ネクストジェネレーションパーク ピッチコンテスト
開催日:2025年10月16日(木) 15:30-17:30
詳細・申込URL:https://01booster.com/event/4053/

事業会社発 新規事業/スピンオフ ピッチコンテスト
開催日:2025年10月17日(金) 15:30-17:30
詳細・申込URL:https://01booster.com/event/4081/

CEATEC 2024 事業会社発 新規事業/スピンオフ ピッチコンテストの様子

■関連サイト