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廃棄物を炭化し人工皮革など多様な素材へ変換、資源の循環ソリューション「.Garbon」開始

 株式会社Gabは9月10日に、廃棄物を独自のプロセスで炭化して多様な素材(再資源)に変換する循環ソリューション「.Garbon(ガーボン)」の開始を発表した。企業が抱える廃棄物問題の解決と廃棄ゼロ社会の実現を目指し、トヨタ自動車のカーボンニュートラル推進活動のひとつである「TOYOTA UPCYCLE」プロジェクトと実証を開始するとのこと。

 同ソリューションは、プラスチックや衣服、食料残渣など従来は焼却するしかなかった有機系廃棄物を均質な炭の粉末へと変換する技術から誕生。炭の粉末は黒色顔料としての汎用性に加えて、消臭・抗菌・遠赤外線効果などの機能も備え、用途に応じて人工皮革や建材、繊維といった素材へと展開可能だという。

「.Garbon」は「廃棄物の削減(入口)」と「素材としての活用(出口)」の両面を持ち、廃棄物を炭化し素材へ変換する「Next Cycle(ネクストサイクル)」によって資源循環率の向上を図る。これにより、天然資源残余量の逼迫、CO₂排出量、環境流出といった課題の解決に貢献し、循環型社会の実現に向けた解決策のひとつになることを目指しているとのこと。

 同社によると、炭化とは廃棄物(Garbage)などの有機物を無酸素で加熱し、熱分解する処理方法。燃焼(焼却)のように酸素を大量に使用しないため、CO₂排出量を約30~50%抑えながら、「炭化物(Carbon)」を生成できる。処理された廃棄物のおよそ80%は熱エネルギーに、残り20%は炭化物(​​PETの場合)として固形資源化されるという。

 また、金属を除くプラスチックや衣類、食品残渣など分別が難しい有機系廃棄物でも炭化が可能なため、焼却に比べてCO₂排出量を削減しつつ、さまざまな廃棄物の再資源化を実現するとしている。

「.Garbon」の特徴は炭化物の活用出口のバリエーションにあるという。そのひとつである人工皮革の「.Garbon Synthetic Leather」は、廃棄物由来の炭の粉末を樹脂に配合することで消臭・抗菌などの機能性を備えており、遠赤外線効果の実証も予定しているとのこと。国内の人工皮革メーカーと共同開発し、10年耐久・摩耗・引っ掻き・剥離強度テストなどをクリアする基本性能を有するとともに、意匠性やアレンジ性、人工皮革ならではの軽さ、撥水性による手入れの手軽さなどを備えているという。

 同社では、トヨタ自動車のカーボンニュートラル推進活動のひとつ「TOYOTA UPCYCLE」プロジェクトと連携し、自動車製造工程で発生する廃棄物や使用済み素材を対象に、資源循環モデルの実証実験を開始。同プロジェクトの取り組みの一環として、廃棄物を新素材に変換するプロセスを構築し、持続可能な自動車産業への展開を目指すとしている。

 また、今後は自動車業界にとどまらず、ファッション、建材、日用品など幅広い業界への展開を予定。「廃棄物を買い取り → 炭化 → 素材化 → 再流通」という循環インフラを社会に根付かせ、廃棄ゼロ社会の実現を目指すとしている。

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